データで読み解く、「人はなぜ走るために遠くへ行くのか?」

データで読み解く、「人はなぜ走るために遠くへ行くのか?」

スポーツを楽しむ旅

スポーツを目的に旅行へ出かける人は少なくありません。マラソン大会出場のために全国各地を訪れたり、大谷翔平選手の試合を観戦するためにアメリカに行ったりするのもその例です。このようにスポーツを「する」「みる」「ささえる」ことを目的とした旅行をスポーツツーリズムと呼びます。
スポーツツーリズムは、観光やスポーツ、地域づくりが関わる比較的新しい研究分野です。大会の開催による経済効果だけでなく、人々の交流やスポーツの普及など社会への影響も研究対象です。近年は海外から参加者が集まる一方、文化・習慣の違いによる課題も生まれ、「集客」と「地域の暮らし」との両立が重要なテーマとなっています。

SNSから見えてくる行動

この分野では近年、アンケートやインタビューに加えて、SNSや口コミサイトなどのデジタルデータを活用した研究が進んでいます。
マラソン大会の口コミサイトには、参加者が良かった点や困った点を数多く投稿しています。また、海外ランナーは大会前後にグループチャットなどで情報交換を活発に行っています。こうした自然な会話や投稿を分析すると、参加者が何を期待し、何に満足し、どんな不安を感じているのかが見えてきます。分析結果は大会運営の改善や観光施策にも活用されています。

データだけではわからないこと

コロナ禍では多くのマラソン大会がオンライン開催となりました。GPSアプリで距離を測るため、極端にいえば走らなくても「完走」できてしまいます。それでも多くのランナーは現地の雰囲気を求め、自分の足で走ることにこだわりました。「マラソンランナーである」という誇りこそ、人が遠くの大会まで旅をする理由です。
スポーツツーリズムは数字だけを追う学問ではありません。研究過程では、実際に大会を走り、ランナーとしての実感とデータを重ね合わせることも行います。データの背景にある感情や行動の意味まで読み解き、スポーツと観光、データサイエンスを組み合わせて、人と地域の新しいつながりを明らかにする研究なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

公立小松大学 国際文化交流学部 国際文化交流学科 准教授 陳 慶光 先生

公立小松大学 国際文化交流学部 国際文化交流学科 准教授 陳 慶光 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

観光学、スポーツツーリズム

メッセージ

興味を持ったことには、素直に挑戦しましょう。私がマラソンを始めたきっかけも、「旅をしながら走ってみたい」という純粋な好奇心でした。当時は、それがスポーツツーリズムを研究する今の仕事につながるとは想像もしていませんでした。アップルの創業者スティーブ・ジョブズが語ったように、いま打つ点が未来に思いがけない形で結びつくことがあります。だからこそ、結果を急がず、自分の「やってみたい」という気持ちを大切にしてください。その一歩が、未来の自分を支える大切な経験になるはずです。

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公立小松大学は石川県小松市に立地し、工学系・医療系・国際系の3学部4学科からなる総合大学です。4年間の教育課程を通じて、確かな基礎知識と国際的な視野、高度な専門能力を養成することで、地域そして世界で活躍できる人材を育成します。
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