可能性の数は天文学的! 多様な分野に資するタンパク質デザイン

可能性の数は天文学的! 多様な分野に資するタンパク質デザイン

タンパク質をゼロから設計する

タンパク質はアミノ酸が50個以上つながってできています。タンパク質を構成するアミノ酸は約20種類で、それを仮に100個つなげるとすると、そのアミノ酸配列は10¹³⁰通りくらいあります。天然のタンパク質は10¹⁰種類ほどなので、新しいタンパク質の作成には天文学的な数の可能性があるのです。
天然に存在しないタンパク質をゼロから設計することを「タンパク質デザイン」と言い、世界中で注目されている最先端の技術です。2024年には、タンパク質デザインという技術の開発に対してノーベル賞が与えられました。

AIなどの計算で形や配列を設計

タンパク質は、筋肉や骨などの人体の構造を作り、また、消化、代謝など生命活動の機能を担っています。タンパク質は、つながっているアミノ酸の種類や順番(配列)によって、その鎖の折りたたまれ方が決まり、それが機能の違いになります。
例えば特定の物質の分解酵素を作る場合、分解する部位を埋め込むために適した形や、その形を作るために必要なアミノ酸配列をコンピュータで計算して設計します。そして、大腸菌などに設計したタンパク質を作らせ、実験で検証するのです。
タンパク質デザインはあなたが欲しい形や機能を持ったタンパク質を自由自在に創り出す技術です。

医薬品や工業用の新材料に

最近の研究では、アデノシン三リン酸(ATP)という、細胞内でエネルギー産生に関わる物質を分解する、全く新しい酵素をゼロから設計することに成功しました。また、タンパク質の中には、回転モーターと呼ばれる、分子が回転することで機能を果たすものがあります。タンパク質デザインの技術を利用して天然の回転モーターを改変し、回転速度を上げた例もあります。
タンパク質デザインでは、求める機能を自由に設計できるので、例えば、特定の分子と結合するタンパク質や高温でも壊れないタンパク質を作ることもできます。そうした優れた機能を持つタンパク質は、医薬品や工業製品になる可能性もあります。

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先生情報 / 大学情報

金沢大学 医薬保健学域 薬学類 准教授 小杉 貴洋 先生

金沢大学 医薬保健学域 薬学類 准教授 小杉 貴洋 先生

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生物化学

メッセージ

生命は進化の過程で膨大な種類の天然のタンパク質を生み出してきましたが、アミノ酸配列の組み合わせを考えると、それをはるかにしのぐ数の人工タンパク質を作り出す可能性があります。いろいろな分野に応用できる素晴らしい技術で、高い確率でこれから発展する研究領域です。この領域を盛り上げていくのは、あなたのように若い世代です。現段階では日本で学べるところは少ないですが、ぜひ私たちの研究室でタンパク質デザインを学んで、将来いろいろな分野で活躍してほしいです。

金沢大学に関心を持ったあなたは

金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。