大企業は中小企業がうらやましい? 税を分析する会計学

税制で中小企業を支える
世の中には数多くの企業が存在します。あなたがテレビやスマートフォンで名前を見かける企業は、おそらく大半が大企業ですが、大企業は全体の数パーセントにすぎず、日本の企業の大多数は中小企業です。
中小企業は大企業に比べると資金力などが低いため、政府は「租税特別措置法」という税制優遇措置を設けて中小企業を支援しています。例えば、中小企業の法人税率は大企業より低めに設定されていたり、従業員の給与を上げた企業を優遇する「賃上げ税制」がその代表例です。
優遇措置は全体にプラス?
こうした税制優遇措置は、本来であれば期間を区切って行うものですが、一度できた制度はなかなか止められないのが実情です。企業でつくる経済団体からの反対意見が出たり、経済情勢や景気の影響を強く受けたりすることがその理由で、例えば「賃上げ税制」は、実は10年以上も続いています。
近年では、優遇措置を求めて、あえて中小企業の区分に入ろうとする大企業も存在します。また、「中堅企業」という新しい区分が設定されました。
企業を助けるための優遇策が、結果として国全体の税収にとってマイナスに働くこともあります。そうなれば、代わりに消費税を引き上げるなど、別の形で税収を補わなければならなくなる可能性もあるのです。
会計学の欠かせない役割
このように、企業の税務やお金の流れを専門的に扱うのが「会計学」という学問です。会計学を身につけた専門家には、現行の制度の枠組みの中で、企業の依頼を受けて税金計算などを手助けする実務家の公認会計士や税理士がいます。また、税の仕組みが国民にとって本当にプラスになっているかをより広い視点で客観的に把握する研究者もいます。
税制優遇措置も、元をたどれば国民の税金から成り立っています。集められた税金を企業にうまく活用し、また本当に国民にとってプラスになっているのかを客観的に把握するためにも、会計学は世の中に欠かせない学問なのです。
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長野県立大学 グローバルマネジメント学部 グローバルマネジメント学科 准教授 井藤 哉 先生
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