世界を豊かにする「やわらかいもの」 ソフトマターの研究

液体と固体の中間の状態「ソフトマター」
学校の化学の教科書では、「物質の状態には気体・液体・固体がある」と書かれています。しかし現実には、その分類に合わない状態のものがたくさんあります。
例えば、ゼリー状やペースト状など、形状をある程度保つという固体の特徴がありながら、液体のような流動性もある「やわらかいもの」があり、「ソフトマター」と呼ばれています。こうした性質は、液体中に多くの粒子が混ざっていたり、固体粒子のネットワーク構造の中に液体が閉じ込められたりすることで生み出されています。
機能性の高い製品を作るために
ゼリー、ソフトコンタクトレンズ、軟こう、塗料や接着剤など、食品、医薬品、化粧品などあらゆる分野にソフトマターの製品があります。その性質がどのような理由で生み出されているのか、どのように有益な性質を生み出すことができるかを正確に解明できれば、機能性の高い製品を開発でき、社会がより豊かになります。
例えば、空気に触れても揮発しない乳液を作る研究があります。乳液もソフトマターの一種で、簡単にいうと、そのまま混ぜると分離してしまう水と油が、界面活性剤によって均等に分散している状態です。そこに、乳液中の油分の粒子が自然に外側に膜を作る性質を付け加えることができれば、美容成分の揮発や酸化を防ぐことができます。
ソフトマター研究に画期的な観測装置
こうした研究には、ソフトマター中の粒子の大きさや動き方の観察が不可欠です。それには、粒子に光を当てて、その反射を観察する「動的光散乱」という方法がよく使われてきました。しかし、ソフトマターは白く濁っていることがほとんどです。これは、粒子が多すぎて光がたくさんの粒子にぶつかって反射を繰り返すからで、正確な観察は困難です。
そこで、光散乱のデータを「複素平面上の解析」という数学的な操作を導入することによって、正確に観察できる装置が開発されました。ソフトマター研究の発展に貢献すると期待されています。
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