デジタル教材は理想の教材なのか? テクノロジーの可能性を探る

デジタル教材は理想の教材なのか? テクノロジーの可能性を探る

教員の手を離れた教材

小中学校では近年デジタル教科書や教材の使用が急速に広まり、テクノロジーが可能にする新しい体験が注目を集めています。その一方で、製作に高度な技術を要するデジタル教材は、使う人と作る人の距離が分断され、教員の「このような学習体験をさせたい」という発想は生かされにくくなりました。また、テクノロジーへの適応が求められる現代では、教材が思い通りに使えないとき、教員や学習者は自分の操作の未熟さの問題だと思い込みがちで、教材が持つ問題点に焦点化されにくくなっています。

3次元の立体を2次元で扱う

デジタル教材の例として、空間図形シミュレーションがあります。角柱や錐体といった立体を自由に回転させ、切って断面を出したり、展開して展開図に変形させたりするインタラクティブ教材です。しかしこの立体表現は、実は教科書の表現とも写真に映る立体とも形状が異なっており、操作する方法も教材によってさまざまです。3次元の立体を2次元に限定された端末画面で表現し操作するところに原因がありますが、これらの違いは何のために生じているのか、また学習者の学びにどのような影響を与え得るか。この問題の解明には、学ぶべき教科内容に加え、活動によって学びが生まれる仕組み、製図法やユーザーインターフェイスの知識、そして検証のために教材を製作する技能が必要になります。

テクノロジーとの付き合い方と新たな可能性

空間図形の例に限らず、デジタル教材はアナログ教材の単なる代替ではなく、新たな可能性とともに解明すべき課題があります。この問題に取り組むには、従来教員がアナログに教材研究していた時代とは異なり、多様な分野を横断した学際的な専門性が求められます。
子どもたちが1人1台の情報端末を活用して学ぶ時代が到来しました。個別最適化が期待される一方で、クラスの学びが個人個人で分断される状況も生じています。デジタルが生む分断をデジタルで解決できるか、探究の先にテクノロジーの可能性が広がっています。

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国際基督教大学(ICU) 教養学部 教養学部 アーツ・サイエンス学科 准教授 青木 浩幸 先生

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勉強とは、もっと楽しんでいいものです。一つのことがわかるまでに試行錯誤して、七転八倒してもいいと思います。今は答えが簡単に得られる時代ですが、わからないということは自分にとってチャンスです。安易にわかったつもりになるのではなく、苦労してわかった時の方がわかったとき得られるものが大きくなります。人間は、わからないからこそ工夫をして、より良くしようということに貪欲になります。そうした気持ちがあれば勉強が好きになれるでしょう。自分で答えを探すこと、それこそが大学での学びです。

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ICUは教養学部1学部の中に31のメジャー(専修分野)を設けています。学生は入学時に専攻を定める必要がなく、入学後に様々な科目を履修し、自分の関心を見極め、2年次の終わりまでにメジャーを決定します。メジャーには、文学、物理学、心理学などの伝統的な学問分野と、「平和研究」「アメリカ研究」などの問題解決型や地域研究型があります。どの分野も、他大学の学部に相当する科目群を配し、専門を系統的に学ぶことができます。