関係のない他人が罰を与えるのはなぜ? 人間ならではの心理と行動

人間はなぜ協力し合う?
人間は、なぜ協力し合うのでしょうか。生物学では、仲間を助けるよりも、自分の子どもを助けるほうが合理的だと考えられています。自分の子どもより他者を大事にするような生物は、子孫を残せないからです。本来は仲間よりも自分の子どもを優先する生物ばかりが増えていくはずですが、現在、生きている人間は他者に親切だったりします。また動物は血縁関係があるか、あるいは小さな集団内でしか協力できませんが、人間は大規模な非血縁集団の中でも協力できます。それらの行動は人間ならではのものだと言えます。
誰かのために罰を与える行動
このように人間の心の在り方も、体と同じように進化して出来てきたのではないかと考えるのが進化心理学です。生き残るために、子孫を残すのに有利なように心は進化したと考え、時にはほかの生物と比較しながら探究していきます。「協力行動」のほかにも、人間ならではの不思議な行動はあります。その1つが、自分が直接何かをされたわけでもないのに、誰かのために注意したり、罰を与えたりする「第三者罰」です。第三者罰については、罰を与えた人に対する評価も研究されています。
罰を与える人を非難する人
例えば、携帯電話を使ってはいけない場所で使っている人をAさんが注意したとします。そのAさんに対して「当然だ。注意するAさんはえらい」と評価する人もいれば、反対に「嫌なやつだ。友だちになりたくない」と非難する人もいます。両者の違いを知るために、ある実験が行われました。1000円を渡して、「隣の部屋に知らない人がいますが、その人にいくらあげますか」と聞いたところ、「半分あげる」や「全部自分がもらう」などの回答がありました。調べると「半分あげる人」は、Aさんを評価した人で、「全部もらう人」は、Aさんを非難した人だったのです。全部もらう人は、普段から自分の利益最優先の考え方や行動をしており、その後ろめたさから、いざとなったら自分も罰を受ける可能性があると思っているとも考えられるのです。
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宇部フロンティア大学 心理学部 心理学科 准教授 森本 裕子 先生
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