児童虐待が子どもにもたらす心理的影響とは?

相談が増えている児童虐待
社会問題となっている児童虐待には、身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト(育児放棄)・性的虐待などがあります。令和5年度のこども家庭庁の調査では、児童の80人に1人の割合で虐待の対応相談があり、それまでの最多となりました。その後は、高止まり状態が続いています。しかし、それは単純に虐待が増えているということだけではありません。虐待という行為そのものが社会に広く認識され、報告されている証とも言えるのです。
夫婦げんか(トラウマ)が子どもの脳に影響する?
中でも最も多いのが心理的虐待で、全体のおよそ6割を占めます。心理的虐待は、子どもが言葉や態度で傷つけられるだけではなく、例えば「面前DV」といって親同士の暴言や暴力を見せられる行為も心理的虐待に当てはまります。研究によると、親の暴言や暴力行為を見るだけで、脳のある部分が肥大したり、収縮したり、影響を受けているという結果があります。物事が理解できない乳児でも脳にストレスがかかり、0~8歳くらいまでの低年齢ほど影響が大きいと言われています。また身体的虐待よりも心理的虐待の方がPTSD(心的外傷後ストレス障害)、トラウマになる割合が大きいという研究結果もあります。
人格形成やものの見方にも
心理的虐待は、子どもの人格形成やものの見方にも大きな影響を及ぼします。虐待を受けた子どもは、「自分は誰にも助けてもらえない価値のない人間」と捉えるようになります。そして、それをひな型に「他者」は自分を助けてくれない存在、「社会」はサバイバルが必要な厳しい環境、「未来」に対しても何もいいことがないと捉えるようになってしまいます。
しかしその後、深いかかわりを持つ他者、信頼できる友人や恋人、配偶者などとの信頼関係を築くことで、ものの捉え方を修正することは可能です。また虐待をする保護者側にも、虐待に至ってしまう生きづらさや事情が多くのケースで見られます。児童虐待問題では、子どもの環境を含めて、丁寧に見守っていく必要があります。
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