地球に豊富な金属材料への置き換えで開かれる未来

地球環境にやさしい金属?
世の中にある多くの物質の中から、それを使って何かの用途のために人間が意思を持って生み出したものを「材料」と言います。この材料を作り出したり、解析したりするのが材料工学です。
材料には大きく分けて、金属材料、高分子材料、セラミックスがありますが、中でも先に挙げた金属材料は、「強さ」と「しなやかさ」というメリットを併せ持っており、活用範囲がとても広い構造材料と言えます。また、金属には寿命があり、時間がたてば自然に還るのも特徴です。この寿命を技術によってコントロールしつつ扱えば、金属材料はサステナブルで、地球環境にやさしいものと考えることができます。
エネルギー問題にも貢献
現在は、金属材料の中でも「マグネシウム合金」に注目が集まっています。これは先に述べたメリットのほか、軽量という特長があります。そこで自動車や鉄道車両、航空機の製造材料としての活用が研究されてきました。これら乗り物全体の重さが軽量になれば省エネとなり、世界的に不足していくと考えられるエネルギー問題にも影響を与えると考えられるからです。乗り物の材料ほぼ全体をマグネシウム合金で作り、どうしても代替できない部分のみ別の材料を使えれば理想的ですが、この研究はまだ先が長く、多くの研究者が探究を続けているところです。
新しい材料作りとその活用を
さらなるマグネシウム合金のメリットは、マグネシウムという、元になる物質自体が地中や海中に豊富に存在しており、枯渇することがないと言われていることです。リチウムなど特定の土地でしか採れない希少金属とは異なるため、輸入が滞るなどの心配がなく、安定的な供給が得られるのです。そして、マグネシウム合金は構造体のデザインによって柔らかく伸びる部分、硬く伸びない部分を作り出すことも可能です。このように二つの性質を混在させられることから、材質の機能や、その活用範囲が人間のアイデア次第で大きく広がっていくと考えられています。
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熊本大学 工学部 材料・応用化学科 教授 山崎 倫昭 先生
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