競うだけではない、つながるためのスポーツを考える

人口が減ることで
人口減少はさまざまな問題を引き起こしますが、その中の一つに「スポーツ」への影響があります。例えば町内会主催で行われていた地域運動会がなくなったり、クラブチームの運営が滞ったりしているのです。地元の人からそれらを再開、活発化させたいとの声が挙がっても、そのためには何かのきっかけが必要になります。従来のやり方では無理がある上に、新しい手法のアイデアが出ないという状況なのです。
「つながり」から生まれるメリット
人口の少ない地方の集落では、住民同士のつながりがあった方がいいと考える傾向にあります。独居老人や孤独死などの問題はよく知られていますが、それらを避けるためだけでなく、子どもが非行に走るのを防いだり、地域が活性するなどのメリットを得るには、「人のつながり」が深い方が便利だからです。そのつながりを生むために、スポーツの活用も各地で行われてきました。
例えば参加してもしなくても良い、ただ地域の人が気軽に集まって軽い運動を行う集団です。まずは「外に出る」習慣をつけて、集まった場所で新しい顔なじみができればそれで良し、仲良くなった人たちが独自に何か別のスポーツの会を立ち上げても良いでしょう。自然の中で行うスポーツであれば、そこにあるゴミ問題など人と自然の関係にも関心が向くことも考えられます。都市部の生活では環境問題は気づきにくいですが、自然豊かな地方から自然と付き合う生活の在り方、その工夫などを発信していけるようになれば、社会の変化が生まれてくるはずです。
スポーツで人が結び付けば
付け加えるなら、こうしたつながりは、自然災害の多い日本では特に必要だと言えます。被災時に互いを気遣う、知り合いの所在を確認するなど、住民同士が顔見知りであった方が効率的に行えます。スポーツというと、技術向上、健康増進などがイメージされやすいですが、もっとゆるく楽しめるならば、地域の暮らしも変えていく可能性を備えているのです。このような視点は、これからのスポーツにもっと必要とされていくはずです。
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岩手大学 人文社会学部 人間文化課程 講師 嘉門 良亮 先生
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