言葉通りに受け取るなかれ 会話に隠れた英語の慣用句

言葉通りに受け取るなかれ 会話に隠れた英語の慣用句

「豆をばらまく」=「秘密をばらす」

2つ以上の単語で構成されて、言葉通りの意味とは別の意味を持つ句を「慣用句」と言います。英語で「spill the beans」を言葉通りにとらえると「豆をばらまく」と訳せますが、慣用句では「秘密をばらす」という意味です。「chew the fat」は言葉通りなら「脂肪をかむ」ですが、「友達と長時間雑談をする」という意味です。このような慣用句は英語の日常会話にたくさん出てくるため、本当の意味を知らないと、会話内容の理解度が下がるとされています。

リスニングで慣用句は推測できる?

では、たくさんある慣用句を知らなくても、なんとなく意味を推測することは可能でしょうか? また推測するためにはどんな要因があるでしょうか? それを確かめるために大学生にテストとアンケート、聞き取り調査が行われました。すると、「リスニング能力が高い」「作業記憶能力が高い」「母語の慣用句と類似性が高い慣用句である」場合は、推測できる可能性がやや高いことがわかりました。とはいえ、やはり、リスニング中に慣用句の意味を推測することは難しいタスクで、慣用句は知っているほど得と言えます。

文化の違いやさまざまな見方を示す

英語の慣用句には、日本語と似たものもあります。日本語に「怒りを爆発させる」という慣用句がありますが、英語の「blow a fuse(直訳:ヒューズを飛ばす)」も同じ意味を持ちます。また反対に日本人には想像がつかないものもあります。「bite the bullet(直訳:弾丸をかむ)」は、「我慢をする」という意味になり、銃社会アメリカならではの文化的背景を感じさせます。
このように慣用句は、言葉通りの意味とは異なる比喩的意味を持ち、さまざまな物の見方を示唆してくれます。授業で慣用句を習う機会は少ないですが、本当のコミュニケーション力を身につけるためにも慣用句を学ぶことは大切です。

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帝京平成大学 人文社会学部 人間文化学科 グローバルコミュニケーションコース 講師 バイアシュミット 順子 先生

帝京平成大学人文社会学部 人間文化学科 グローバルコミュニケーションコース 講師バイアシュミット 順子 先生

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認知言語学、第二言語習得論

メッセージ

「目玉焼き」は英語で「a sunny side up egg」と言います。同じ料理を日本語では目玉、英語では太陽と、それぞれ違うものに見立てていますね。これを発見できるのが認知言語学の面白さです。私は6歳の時、母に「英語が話せたら世界中の人と話せるよ」と言われてから英語の学習を人生の目標にしてきました。今はAIを使った高性能な翻訳機などがありますが、それらの力を借りつつ、ぜひ言語とその文化的背景を理解し、個人の様々なものの見方を大切にした英語コミュニケーションの楽しさを味わってもらいたいです。

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