「ものづくり」を科学して、未来の人材育成をめざす!

「ものづくり」を科学して、未来の人材育成をめざす!

これからの職業教育とは

スマートフォンやゲーム機器、自動車など、私たちの日常は数えきれないほどの「ものづくり」によって支えられています。ものづくりはAIやロボット技術との融合によって進歩を続けているため、ものづくりの技術者を育てるには最先端技術を効果的かつ意欲的に身につけられるような教育方法が必要です。そこで、そうした革新的な職業教育の方法について、次の4つの要素に着目して開発研究が行われています。

AIとVRの活用

1つ目は「AI(人工知能)」で、次世代の職業教育の大きな部分を占めています。AIは学習者一人一人の理解度や進度に合わせた個別最適な学習プログラムの作成や、技能実習におけるリアルタイムでのフィードバックなど、職業教育を強力にサポートしてくれるツールです。技能習得に特化した生成AIも開発が進められています。
2つ目は「VR(バーチャルリアリティ)」です。VRはコンピュータが生成する仮想空間への深い没入感を提供する技術です。VRを使うことで、迅速かつ効果的なスキルアップが期待できます。熟練職人の高度な技をあらゆる角度から繰り返し体験することや、危険を伴う作業や高価な設備を用いる作業を安全かつ低コストで訓練することが可能だからです。

技能科学と根源的スキル

3つ目は、熟練者の技能を多角的なデータで分析し、科学的に解明する「技能科学」です。従来、ものづくりにおける熟練の技は言語化しにくい「暗黙知」とされて、その伝承は経験や勘に頼りがちでした。それを客観的なデータに基づいて可視化することで、科学的な根拠に基づいた体系的な学習が可能になります。
そして4つ目は、技術革新時代を生き抜くための基盤である「根源的スキル」です。根源的スキルには、専門知識や技術スキルに加えて、コミュニケーション能力や問題解決能力といった基本的な人間力も含まれています。AIなどの先端技術や技能科学によるものづくりの土台として、根源的スキルの育成も不可欠です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

職業能力開発総合大学校 総合課程 能力開発基礎系 准教授 藤田 紀勝 先生

職業能力開発総合大学校 総合課程 能力開発基礎系 准教授 藤田 紀勝 先生

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教育工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私たちの研究室は、「ものづくり」の持つ無限の可能性を科学的なアプローチで切り開き、次世代を担う人材の育成を通じて社会に貢献したいと考えています。未来のものづくりを形作り、技能と技術の新たな地平を探求することに興味があるなら、ぜひ一度私たちの研究室を訪ねてみてください。あなたの知的好奇心と情熱が、新たなイノベーションを生み出す力となることを楽しみにしています。また、本校での学びの先には、ワールドワイドに活躍できる国家資格である「職業訓練指導員」への道が開けています。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

職業能力開発総合大学校に関心を持ったあなたは

職業能力開発総合大学校は、「ものづくりのプロ」「人づくりのプロ」を養成するために設置された、厚生労働省所管の4年制の大学校です。
科学・技術・技能を三本柱とした実践的な知識と技能を学び、機械・電気・電子情報・建築の4専攻でものづくりにおける企画・開発から製品化に至るまでをトータルにマネジメントできる能力を養います。製造現場での最先端の機器設備を活用することによって、新たな学術領域である「技能科学」の確立を目指すとともに高度化・煩雑化する社会課題を解決できる高度な人材を育成しています。