子どもの「やりたい!」をどう守る? 保育と保健の融合

子どもの「やりたい!」をどう守る? 保育と保健の融合

こんなときどうする?

あなたが保育士だとして、担当する園児たちが「ラテアートをやってみたい」と言ってきたらどうしますか? 子どもの「やってみたい!」を叶えるためには、いろいろな確認をする必要があります。例えばカフェラテに含まれるカフェインは子どもの健康にどんな影響があるでしょうか。同じく、乳幼児がどんぐり集めに興味を示した場合はどうでしょう? 自然に直接触れられる貴重な学びの機会ですが、年齢によっては誤飲の可能性もあります。子どもの健康や安全を考えながらも、子どもの気持ちを尊重する保育をするためは、どんな工夫が必要でしょうか。

現場で起こること

保育の現場には、保育のプロである保育士のほか、看護師や栄養士といった職種が配置されている園もあります。子どもたちのために働くという点では共通していますが、着目する視点にはちょっとした違いがみられることもあります。例えば昼寝では、仲良しの子どもを隣同士近くに配置することで、安心して眠りにつくことができるかもしれません。一方で、保育園では時に「アタマジラミ」が発生することもあるため、感染予防のためには、子どもたちの距離を十分にとって布団を敷いたり、距離がとれない場合は頭の向きを交互に変えて寝かせる方法もあります。専門性の違いから異なる視点の意見が出されたときこそ、それぞれの意見を尊重し、融合していく方法を見つけていくことが大切です。

保育と保健の融合

現在、子どもの「やりたい!」という気持ちを尊重する保育が求められています。子どもの興味や好奇心を引き出して、さまざまな体験を通じて成長を支える姿勢は、保育士にとって欠かせません。加えて、その過程では健康や安全にも配慮する視点が必要になります。子どもの健康や安全を守り、体調等にも配慮する「保健」の視点は、実は現代の保育の現場には不可欠です。より質の高い保育を実現するには、子どもの気持ちに寄り添う保育に、俯瞰(ふかん)的な視点から子どもの健康や安全を見つめるまなざしを加える必要があるのです。

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玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 教授 鈴木 美枝子 先生

玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 教授 鈴木 美枝子 先生

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小児保健学、保健学、健康教育学、保育学

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メッセージ

「これってどうなんだろう?」とふと疑問に思うことがあるでしょう。そうした感覚は、今のあなたにしか持てない大切なものです。しかし学びを深めていくうちに、自分の興味を絞って掘り下げる場面が増えてくるため、かつて感じていた疑問が見えにくくなってしまうこともあります。だからこそ、今感じている違和感や疑問を大切にしてほしいです。すぐに答えが出なくても、それが何かを始めるきっかけになったり、花開いたりすることがあるかもしれません。ぜひ今の気持ちを、大事にし続けてください。

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―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。