三角形の内角は本当に180度? 数学が導く自由なものの見方

三角形がふくらむ世界
三角形の内角の和=180度であると多くの人が答えるでしょう。これは教科書にも載っている、ごく当たり前の知識です。しかしそれは「平らな世界」の話にすぎません。実は、地球のように丸い面に三角形を描くと、内角の和が180度を超えることがあります。こうした「180度ではない世界」を研究するのが、非ユークリッド幾何学という分野です。物理学者アインシュタインも、この考え方をもとに相対性理論を築き上げました。つまり数学の世界には、「こうでなければならない」という決まりがあるように見えて、実はその土台自体を「自由に設定できる」という一面があるのです。
数学における自由
数学というと、「公式を覚えて、問題を解く」という堅いイメージがあるでしょうか。実際は、数学のスタート地点はとても自由で、「三角形の内角は180度である」と決めるのも、「そうじゃない世界を考えてみよう」と発想するのも、どちらもアリなのです。大切なのは、選んだ土台の上で矛盾がないように論理を組み立てることで、たとえ現実の感覚や経験とは違う結果が出たとしても、理論が通っていれば、それは一つの正しい考え方になり得ます。数学は、一つの視点にとらわれず、さまざまな視点を行き来することで、世界を多角的に理解する力を育む学問なのです。
数学的な考え方
私たちは普段、知らず知らずのうちに「こうであるべき」という思い込みに縛られがちです。しかし、数学の考え方を知ると、「それは仮説にすぎないかもしれない」と捉え直すことができるようになります。絶対に正しいものではなく、まずは仮説として出発する柔軟な姿勢こそが「数学的態度」です。一つのやり方がうまくいかなくても、別の仮説を立て直せばまた新しい世界が開ける「自由な思考」を育てる学問です。
変化の激しい時代だからこそ、数字や記号を通して世界を自由にする数学の力は、私たちが前に進むための大きな支えになるでしょう。
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群馬県立女子大学 文学部 文化情報学科 准教授 堀畑 佳宏 先生
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