仮想空間内を走行するドライビングシミュレータで安心安全を科学する

「振動するぞ!」ドライビングシミュレータ
交通事故を防ぐためには、運転者がなぜミスをしてしまうのかを調べなければなりません。しかし、現実世界で危険な運転状況を再現することは困難です。
そこで、実際の車体を用いた加振装置を組み込んだ特殊なドライビングシミュレータを使った研究が進められています。仮想空間上であおり運転や交通事故といった危険な状況を再現し、運転者の視線の動きやハンドル・ブレーキ操作、生体情報などを記録・分析します。異なる者同士の運転行動を同じ条件下で比較できるため、年齢や状態による違いを客観的に捉えられるのも、シミュレータの大きな利点です。
「危ない!」が予測できない運転者を見つける
実車相当のドライビングシミュレータにより、現実に近い運転体験が可能になりました。これを使った実験により、病気や疲労などによる脳や身体機能の低下が運転に与える影響が調べられています。運転者の中には、今までの運転の経験や予測に基づく運転が難しくなり、その場の状況への反応が遅れてしまう傾向を持つ人が確認できています。例えば、歩道から人が飛び出しそうになると経験から危険を予測してブレーキを踏みます。しかし、脳や身体機能が低下した人は、飛び出しの予測が難しく、速度を緩めずにそのまま進んでしまうのです。
「イライラ」しない限界は?
また、近未来では、自動運転車と手動運転車の混在交通が長く続くと予想されています。その際、手動運転車の運転者が自動運転車の動きに対してどのように感じるかを、シミュレータを使って調べる研究も行われています。例えば、高速道路で自動運転のトラックが法定速度を守りながら追い越しを行う際、手動運転の後続車の運転者がイライラせずにトラックの追い越しを待っていられる時間を検証しています。これは、あおり運転を引き起こさせない運転方法にもつながります。
このような研究の成果は、安全対策の立案に活かされ、その案をまたシミュレータで検証するといったサイクルを通じて、未来の交通安全を支えていくのです。
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