人にも環境にも優しい農業ロボットでスマート農業を推進!

スマート農業を支えるロボティクス
農業は今、コンピュータで管理されるものが増えています。機械が自動的に農作業を行うだけでなく、作業の内容をすべて記録してクラウドに保存し、集めたデータをAIが分析することで精密な農業経営を可能にします。こうした「スマート農業」は深刻な人手不足に対する有効な解決策の一つであり、スマート農業の実現にはロボティクスの研究が欠かせません。
トラクタやコンバイン、田植機など、すでにある農業機械をコンピュータで自動化し、センサで情報を取得するロボティクスはすでに実用化が進んでいます。さらに正確な作業ができるよう情報を与えて学習させていくことが目標とされています。
GPSを活用した電動草刈りロボット
その一方で、大きな機械が使えない狭い土地や中山間部の傾斜地の草刈りは、まだ人の手で行われています。また、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが主流の農業機械も、環境保全の観点から電動化が求められつつあります。そこで、まずは平地で自動運転・自動充電する車輪型電動草刈機が開発されました。4輪駆動車両で不整地も走行可能で、GPSの情報をもとに自動で草を刈り、作業が終わると掃除ロボットのように充電ステーションに戻ります。エンジンの場合は消防法により自動給油はできないため、電動化のメリットの一つといえます。一方、電動はエンジンに比べて馬力が小さく作業に時間がかかりますが、静かなので夜間にも稼働でき、作業時間の長さでカバーすることが可能です。
棚田でも活躍
今も日本に多く残る棚田の草刈りは重労働で、傾斜がきつく転倒の危険もあります。そこで平地用の電動草刈り機を発展させた、傾斜地対応のクローラ型草刈り機の開発が進められています。エンジン駆動の場合、車体が傾くとうまく動かなくなりがちですが、電動の強みを生かし、クローラの高さを左右で変えられるなど、傾斜地に合わせた工夫が施されています。また、夜間に動かすことで野生動物への対策にもなると期待されます。
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先生情報 / 大学情報

京都大学 農学部 地域環境工学科 フィールドロボティクス分野 教授 飯田 訓久 先生
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