講義No.15593 教育

子どもとのコミュニケーションには不思議がいっぱい!

子どもとのコミュニケーションには不思議がいっぱい!

子どもは自分の気持ちをどのように表すのかな?

誕生した子どもは、自分の気持ちを泣いたり、笑ったりしながら表します。やがて1歳半を過ぎた頃になると相手の要求と自分の要求が異なる際、自分の気持ちを「イヤ!」などの言葉を用いながら直接的な方法で言うようになります。しかし、3歳前後になると、相手の気持ちも分かるようになってくるため間接的な方法で自分の気持ちを表すようになります。

「迂回」行動ってなあに? 嘘の前の嘘なの?

「迂回」という語の原点は、心理学者であるヴォルフガンク・ケーラー著『類人猿の知恵試験』の中にあるチンパンジーの研究から示唆を得たものです。彼は迂回実験を行いました。チンパンジーの場合は目の前に欲しい物があると一直線で取りに行きますが、欲しい物の間に障害物が置かれている場合、チンパンジーは迂り道をしながら欲しい物を取りに行く能力があります。ケーラーは、この行動を「迂回」と述べています。3歳11ヶ月になったある子どもは、より間接的な表現を使いながら自分の気持ちを相手に伝えています。この時期の子どもは、大人が聞けば分かるような嘘を言います。まさに、嘘の前の嘘にあたります。

「迂回」行動を知っておこう!

「迂回」行動は、相手の要求と異なる際に間接的な表現で相手に伝える方法です。この「迂回」行動について、幼稚園の観察を通して保育者の対応が捉えられました。
保育者の子どもへの対応方法は、直接的な言葉かけや間接的な言葉かけが見られると共に保育者が“間”を取りながら子どもに対応している姿を読み取ることができました。子どもにとってはこの“間”が、その先の行動を考える時間に繋がります。昔は大家族であり、祖父母などから生活を通して子どもの発達や関わり方が伝えられていましたが、現在、核家族が増えています。特に2歳から3歳に移行するこの時期には「迂回」行動が見られるようになります。あなたが、この行動を知っていることによりこの時期の子どもとの関わりがスムーズになるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

帝京大学 教育学部 初等教育学科 こども教育コース 准教授 寒河江 芳枝 先生

帝京大学 教育学部 初等教育学科 こども教育コース 准教授 寒河江 芳枝 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

保育学、幼児教育学、子ども学

先生が目指すSDGs

メッセージ

将来幼児教育や保育の道に進みたいと考えているなら、是非大学に入る前にいろいろな子どもを見てほしいです。特別な場所に行かなくても、公園や街中で子どもたちを見かけることがあるでしょう。そこにどんな子どもがいて、どんな姿を見せているか、意識しながら生活してみてください。そして、そこで自分がどう感じるかを大切にしてください。専門書を読んだり、専門用語を覚えたりすることも大事ですが、目の前の子どもをどう捉えて、どう考えるかという力が、大学での学びに繋がります。

帝京大学に関心を持ったあなたは

医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。文系学部を中心とした八王子キャンパスでは、約15,000人の学生が学んでいます。東京多摩丘陵の自然豊かな景観に位置し、キャンパスリニューアルにより新校舎棟「SORATIO SQUARE(ソラティオスクエア)」「帝京大学総合博物館」をはじめとした、施設・設備が整備され、教育指針である「実学」「国際性」「開放性」を柱に、自ら未来を切り拓く人材を育成しています。