デジタル社会を支えるHDDを大容量に 鍵はヘッドの位置制御

ソフトウエアを動かすのはハードウエア?
データやソフトウエアが注目される時代ですが、生成AIやSNS、動画など、私たちが楽しんでいるアプリやコンテンツは、パソコンやサーバといった機械、ハードウエアが支えています。そのため、これらの膨大なデータを処理するデータセンターのサーバの効率化は必須です。中でも、磁気でデータを記録するハードディスクドライブ(HDD)の容量を増やす技術が注目されています。
侮れないHDDの中の「台風」
HDDは磁気の極性(S、N)で1、0を表したデータを扱います。円盤の上に、ナノサイズ(1ナノメートル=100万分の1ミリ)幅の線で、無数の円を描くように磁気データが格納されます。磁気ヘッドが、高速回転する円盤上の線をなぞりながら極性を反転させることでデータを書き込みます。最新の製品では、磁気ヘッドにつけた微細なヒーターから熱を与えることで、より細い線が実現しています。ただ、熱がほかの場所に広がると対象外のデータに影響を与えるため、磁気ヘッドがぶれないようにしなければなりません。
そこで、機械学習で磁気ヘッドの動きを学習させて、より正確に位置補正をする制御プログラムが開発されました。HDDの内部は高速回転する円盤のせいで、強い風が起きています。新しく開発されたプログラムでコントロールすると、台風の中でも東京スカイツリーの先端が0.1ミリ以下しか動かないのと同じくらい正確に、ヘッドの位置を保ちます。
原子サイズでの制御をめざして
この技術が実用化されれば、100テラバイト(現在の3~5倍)程度の容量の製品ができる見込みで、サーバの台数を減らし、省エネにも貢献します。また、磁気データの幅は理論上、原子の大きさ(0.1ナノメートル)まで縮小可能とされており、今後も、その理想に向けた研究が行われていきます。
この精密な制御方法は、半導体基板に微細な部品を配置するロボットアームの制御などにも応用できるため、産業界からも実用化が期待されています。
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東京都市大学 理工学部 機械システム工学科 教授 藪井 将太 先生
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