xR技術が変える、未来の学び方

xR技術が変える、未来の学び方

現実と仮想が融合するxR技術

VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)を総称して「xR」と呼びます。VRはすべてコンピュータグラフィックス(CG)で構成された仮想世界、ARは現実空間にCGを重ねて表示する技術、MRは現実と仮想を融合させて触れ合える技術です。技術の発展に伴い、これら3つの境界は曖昧になりつつあります。そして、娯楽だけでなく教育や産業の現場で急速に活用が広がっています。

ゲーム感覚で身につく勘やコツ

xR技術の重要な応用分野の一つは、訓練システムです。例えば、旋盤や溶接といった工作機械の操作をVRゲームで学べるシステムでは、習熟期間が従来の約半分に短縮されました。これは正確なシミュレーションではなく、「勘やコツ」といった感覚的なスキルを楽しく身につけることを重視しています。また、片付け作業が苦手な人のために、パズルゲーム風のVR訓練も開発されています。指定された場所に同じものを3つ入れるというゲーム性を持たせることで、面倒な作業も積極的に取り組めるようになります。現実世界では危険を伴う作業や失敗が許されない場面を、安全に繰り返し練習できるのもxRの大きな利点です。

誰でも使える未来のツール

訓練システム以外にも、例えばブロックを手で触って配置し、音声入力するだけでプレゼンテーション資料や表計算のグラフが作れるシステムがあります。もともと視覚障害者向けに開発されたものですが、パソコン操作が苦手な健常者にとっても直感的に使える利点があります。また、AR技術で現実空間に3次元のお絵かきができるシステムもあり、子どもたちが空中に絵を描いて楽しんでいます。さらに、ChatGPTなどの生成AIを組み込んだバーチャルアバターと対話する研究も進んでおり、医療診察の訓練などへの応用が期待されています。このように、xR技術は第4次産業革命の鍵となる技術として、私たちの学び方や働き方を大きく変えようとしているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 理工学部 データサイエンス学科 准教授 三橋 郁 先生

帝京大学 理工学部 データサイエンス学科 准教授 三橋 郁 先生

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設計工学、人間工学、教育工学

メッセージ

xRの世界はCGという「フェイク」から始まりますが、そこから真実を生み出す情熱こそが大切です。仮想世界での訓練が現実の技能向上につながるように、xR技術は実世界と深くつながっています。私がこの研究に取り組んでいるのは、何より面白そうだと感じたからです。あなたも、まずは自分が好きなこと、面白いと感じるものを見つけてください。そして、できれば何か自分で作ってみることをお勧めします。VRは高価というイメージがあるかもしれませんが、プログラムを学べば意外に安く作れます。

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