中国政治の不思議 中間層が財産を守るためにとった行動とは?

中国政治の不思議 中間層が財産を守るためにとった行動とは?

不思議な中国政治

中国政治には、民主主義国家の日本から見ると不思議な点がたくさんあります。例えば共産党による社会主義を保持する一方で、資本主義の一環である市場経済を推進しており、GDP世界第二位の経済大国になりました。また、村民・居民委員会などでは選挙という民主的な仕組みも取り入れ始めたものの、すでに当選者が決まっている場合があるなど、独裁的な面も残しています。この複雑な政治体制は、中国の社会にどう影響を与えているのでしょうか。

中間層が抱える気持ちとは?

研究事例の一つが、経済成長によって2000年代以降に登場した中間層へのインタビューです。事前の仮説では、中間層は可処分所得が多く順風満帆な生活を送っているため、将来への希望を抱いていると見られていました。しかし実際は不安を抱えており、自分たちの財産を守ろうと権力者の保護を求めていることがわかりました。中国における権力者とは、共産党の党員です。

なぜ権力者に反対しないのか

これまでの政治の近代化プロセスでは、通常「財産を守りたい」といった要望を持った人々は、反対運動などを起こして政治家たちに改革を要求します。しかし中国ではこの理論は通用せず、中間層が政治体制に歩み寄っていました。その理由は中国の社会を見るとわかります。そもそも中国には強固な社会保障制度がなく、自分たちの生活は自力で守らなければなりません。制度に頼り切れないという前提があるため、生活を守るための人間関係を構築するようになりました。このとき重視されるのが共産党員とのつながりです。共産党員は、自治体がお金を借りたいときの相談相手になるほど、大きな影響力を持っています。そのため中間層も反対運動を起こすより、共産党員に財産を保護してもらう方が確実だと考えたのです。このように中国には政治学の理論や日本社会の常識が通用しない部分が多くあります。こうした中国政治の実態を、社会の状況にも目を向けながら読み解こうと研究が続けられています。

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先生情報 / 大学情報

南山大学 外国語学部 アジア学科 教授 江口 伸吾 先生

南山大学 外国語学部 アジア学科 教授 江口 伸吾 先生

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現代中国政治、政治社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日本国内に留まって海外の研究をすることは可能です。それでも現地の言語を勉強してそのフィールドで研究する楽しさを味わってほしいです。何をどこで学ぶかは、自分自身の関心や問題意識によります。もし中国に興味があるなら、知識を学ぶだけでなく、中国の方との交流や現地に行く機会も大切にしましょう。私も中国を訪れたことで、社会や文化の多様性などを実感しましたが、政治体制だけを見ていては気づけなかったことだと思います。座学だけではわからない楽しさを、あなたにも味わってほしいです。

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