数百年以上前の地震や噴火が今の土砂災害の要因に

荒れた山と「砂防学」の誕生
江戸時代の日本では、燃料として山の木を切っていたため山が荒れ、雨による土砂災害や洪水が発生していました。明治に入り、欧州からやってきた外国人技術者が砂防技術を伝承し、治水砂防の法律も整備されたことで山は安定していきました。この頃に生まれた学問が「砂防学」です。
戦後、資材としての木材需要が高まり、広葉樹林から資材に適した針葉樹林への植え替え時期に再び山が荒れましたが、植えた木々が成長した20世紀後半以降、砂防技術の発展と相まって、ようやく山の土砂は再び落ち着きを取り戻したのです。
気候変動、過去の地震や噴火が土砂災害を起こす
ところがここ数年、全国で土砂災害が多発しています。その要因のひとつは気候変動の影響と考えられる豪雨の増加です。加えて、日本では地震や火山の噴火が多いことが、土砂災害の発生に大きな影響を及ぼしています。過去の噴火の火山噴出物が降り積もった斜面では、本来であれば危険視されない程度の雨や傾斜でも大規模な土砂移動が発生することがあるのです。
2018年の北海道胆振東部地震では、約8千年から2万年前の火山噴出物が強震動を受けた結果、緩斜面でも崩壊を発生させ、甚大な被害を引き起こしました。ほかにも、北海道有珠山周辺では数百年前の火山噴出物が、冬場の凍結融解の影響により不安定な土砂として新たに生み出され、融雪後から8月頃までの間は、弱い雨でも土石流を発生させています。神奈川県丹沢地域では1923年の関東地震時に発生した崩壊土砂が、最近でも激しい土砂移動を引き起こしています。
“流域の履歴”を防災対策に生かす
こうした百年程度から数万年前といった遠い過去の出来事=“流域の履歴”が現在の地形や土壌を作っています。最近では、ドローンなど最新技術を活用し、従来難しかった調査が広域でできるようになってきました。気候変動の影響を強く受け、地殻変動が活発な日本だからこそ、“流域の履歴”を知り、危険な場所を探し出し、今後の防災対策に生かすことが重要なのです。
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