魚が食べるマイクロプラスチックはどこから? 危険な環境循環を発見

魚が食べるマイクロプラスチックはどこから? 危険な環境循環を発見

マイクロプラスチックの危険性

大きさが5mm以下の微細なマイクロプラスチックは、生態系や人体への影響が懸念されています。マイクロプラスチックは魚の消化器官の中だけでなく、脳や心臓、体内の至る所から発見されています。プラスチックには化学物質が付着しやすい性質があるので、魚の体内を化学物質が巡っていることになります。
さらに、マイクロプラスチックの表面には大腸菌や薬剤耐性菌といった微生物が付着していることがわかりました。通常、陸地に存在する細菌は海水に触れると死滅しますが、マイクロプラスチックに付着した細菌は海水でも生存することがわかっています。化学物質のみならず、細菌感染の可能性もあるのです。

流れるマイクロプラスチック

海にある60~80%のマイクロプラスチックは、陸地から流れ出ています。環境や人体への影響と対策を考えるためには、陸域と海域、そして大気中でのマイクロプラスチックの現状や生物との相互作用、循環を明らかにする必要があります。
道路にポイ捨てされた1個のプラスチックごみは、風雨にさらされて何万個ものマイクロプラスチックになります。雨や風に流されて川に入り、最終的には海へと流出します。これは都心部だけでなく、自然豊かな地方でも同様です。流れ出る量や様子は、天候や季節、海流の影響を受けることがわかっています。

流れを変えるのは、人

これを受け、行政や住民、企業が一体となって環境保全と経済・社会活動を両立させる「持続可能な都市」をめざす取り組みが増えています。
ある都市の事例では、市民が散歩途中でごみを拾う「エコウォーカー」の活動を展開したところ、ポイ捨てされるごみが減り、プラスチックの流出が減少しました。人が作ったものは、人によって管理し直すことができるのです。そうしたモデル都市がいくつも登場すれば、政策に影響を与え、日本あるいは世界へと活動が広がっていくでしょう。

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先生情報 / 大学情報

京都先端科学大学 バイオ環境学部 生物環境科学科 准教授 高澤 伸江 先生

京都先端科学大学 バイオ環境学部 生物環境科学科 准教授 高澤 伸江 先生

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化学海洋学、生物地球化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

登下校などでまちを見回してみてください。そこには、学問の入り口になる「なぜ」がたくさんあります。私の専門分野であれば、研究は机上で行うことだけではなく、実際に川や海に行き、川や海の流れ、水の色や濁り具合、そこにいる生物などを見て、どうなっているのか予測を立てて検証します。海水のサンプルは船で沖に出て入手します。船主さんや地域の人たちの協力も不可欠です。現場で初めて気づくことも多く、予想外の人々の思いや考えに触れられ、探究心が尽きないのが化学海洋学の楽しさです。

京都先端科学大学に関心を持ったあなたは

本学は世界で活躍する「人財」を育てる5学部10学科の総合大学です。経済経営学部、人文学部、バイオ環境学部、健康医療学部、工学部、それぞれの学部でグローバル化する現代社会を生き抜く「未来を生み出すチカラ」を身につける教育を展開。専門性に加えて、多くの留学生が学ぶ「国際性が日常のキャンパス」で実践的な英語力を磨くとともに、多様性に適応するコミュニケーション能力、デジタル化に対処できるデジタルリテラシーを高めて、激動する社会に向かって自らを築き、世界レベルで活躍できる人材の輩出を目指しています。