メディアとしてのゲームから見える社会

多元化する現代のメディアとゲーム
現代のメディア環境は、かつてないほど多元化しています。テレビや新聞といったマスメディアだけでなく、インターネットやスマートフォン、SNSが普及したことで、情報の受け手と発信者との境界があいまいになりました。
さらに、「ゲーム」をメディアとしてとらえる視点もあります。ゲームが単なる娯楽ではなく、人と人とを結びつけるメディア(媒介)として機能するのです。これはデジタルかアナログか、オンラインかオフラインかという区分だけではとらえきれない、複合的なメディアだと言えます。
インターネットがない時代のゲーム
ゲームの歴史を分析して、メディアのありかたを考察した研究があります。
1980年代終わりから1990年代にかけて行われた「メイルゲーム」は、郵便を用いたロールプレイングゲームです。ゲームの参加者は自分のキャラクターを設定し、月に1度、キャラクターが何をするかをゲームの主催者に郵送します。主催者は参加者たちからの手紙の内容をもとに物語を進め、その内容を参加者たちへ返送するのです。こうした1カ月1ターンを繰り返し、例えば1年で完結するわけです。
このようなゲームは、インターネットが普及する現代と比較すると不便とも言える仕組みです。しかしその制約があるからこそ、参加者たちは想像力を働かせて、お互いの存在を意識しながら物語を共有していました。そこには現代のオンラインに通ずるような、とはいえ独特なコミュニケーションの形があったのです。
メディア考古学から見えるものは
このように、かつて存在したメディアの実践を整理して分析することで、その時代の社会関係や価値観を読み解こうとするのが「メディア考古学」です。
前述のメイルゲームの事例からは、即時性や効率性を当然とする現代の感覚が相対化されます。同時に、ゲームがコミュニティを形成して、人々を結びつける力を持つことも浮かび上がります。
メディアは単なる娯楽ではなく、時代を映し出し、社会関係を作り出すものだと言えるでしょう。
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