「集積」を通して考える都市発展と交通開発

「集積」を通して考える都市発展と交通開発

企業やそこで働く人が集まる都市

企業やそこで働く人が集まる「集積」を核に都市は発展してきました。都市では、「フェイス・トゥ・フェイス」のコミュニケーションが活発になされ、やがて形式化できない「暗黙知」や「集合知」が蓄積され、イノベーションが起こりやすくなります。その結果、企業は高い収益を得て、人も高い賃金を得ることができます。これが、家賃が高い都心にわざわざ企業が集まる理由の一つです。

新幹線が通ると地方は衰退する?

東京23区と周辺のベッドタウンの関係に見るように、都市は業務機能が集まる「中枢」から、住宅地となる「外縁(郊外)」へ拡大しながら発展してきました。都市の外延的な拡大は、鉄道や高速道路などの公共交通網の整備を伴います。
田中角栄の「列島改造論」に代表されるように、かつては交通網を張り巡らせれば、地方も大都市も均衡ある発展ができると考えられていました。しかし現実は逆でした。例えば、九州新幹線の開通で移動時間が短縮されると、福岡に本社のある企業は、熊本や鹿児島にあった支店をなくし、本社に集約させるといったことが起こります。東京と大阪の関係性も同様で、新幹線によって両都市間の移動時間が短縮されたことで、大阪に本社のあった企業がどんどん東京へと本社を移していきました。

「地域活性化」の落とし穴

「輸送費」の低下は、大都市の集積力を強くします。集積力が弱い地方都市は「地域活性化」に取り組んでおり、その一環でさまざまなイベントが行われます。しかし、「地域活性化」はイベントで賑わうことではありません。例えば、ドイツビール祭りで集客ができても、その売上はドイツのビール会社や東京のイベント会社に流れます。この結果、そのような地方都市ではほとんどお金が循環しないため、地域活性化は達成できません。このように表面的な現象だけを見ていては、本質を見誤ります。政府統計などデータを集め、理論に基づき分析スキルを駆使して、都市発展のメカニズムを解明することが、都市経済学という学問の大切な役割なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

佐賀大学 経済学部  教授 亀山 嘉大 先生

佐賀大学 経済学部 教授 亀山 嘉大 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

都市経済学、交通経済学、観光経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

AIの時代にAIに任せて、自らで考えることを止めると、将来AIに代替される人材になってしまいます。基礎的な論理の構成力、文書力、判断力を身に付けるまでは、安易にAIに頼らず、「自らで考える力」を徹底的に養ってください。経済学部で学びたいなら、AIにできない独自の価値を生み出そうという意欲を持って、大学に飛び込んでください。私のゼミでは、データ分析だけではなく、企業や自治体と連携して社会課題の現場に出ていく「外展開」ができる意欲的な学生を求めます。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

佐賀大学に関心を持ったあなたは

教育・芸術地域デザイン・経済・医・理工・農の6学部に加え、コスメテックサイエンス学環が誕生しました。キャンパスは本庄地区と鍋島地区に分かれ、どちらも緑溢れるのどかな環境にありながら、九州の中心地である福岡へJRで約30分で行けるアクセスの良さです。学生生活から就職活動、さらには就職後まで「面倒見の良い」教育を進め、卒業生が愛校心を持ち続ける教育を実践し、学生に選ばれる大学をめざしています。研究面では、産官学共同研究を中心に、中央の大きな大学にも負けない特色ある研究テーマの取組みを推進しています。