鳥の生態から見えてくる、都市の環境と生物多様性

鳥の生態から見えてくる、都市の環境と生物多様性

鳥は環境を測る「ものさし」

鳥類はその鳥が住む都市空間の環境を測る「ものさし」となりうる生き物です。食物連鎖の高次消費者でありエサの種類も多様な鳥類の生息状況からは、その環境の生態系に関するいろいろな情報が得られます。鳥類の生態から都市の環境を知るために、まず都市環境のどのような要因が鳥類の生態に影響を与えているのか分析が進められています。

鳥の観察と空間情報を統計解析

その一例が、大阪の中心部にある中之島の調査です。中之島は両側を川に囲まれた長さ約3kmの中州で、市役所をはじめとする建築物、公園の緑や芝生、水辺などさまざまな環境があります。この中之島一帯に出現する鳥類を観察して種類や数をマッピングします。その一方で、中之島全体をいくつもの四角に区切り、それぞれの区画を覆う建物や緑などの「土地被覆」を、目視や衛星画像、地理情報システム(GIS)などを使って調べます。この空間情報と鳥の出現情報を組み合わせて統計解析し、鳥類に影響を与える環境要因を探ります。
こうした調査により、緑の環境のわずかな変化で鳥の種や数に変動が生じることや、緑の「量」よりも、階層構造のある植栽や緑地の位置といった緑の「質」の方が、生物多様性に重要であることなどがわかってきました。

自然と共存できる空間へ

都市部の緑地と鳥類との関係以外に、森林でない環境に囲まれた「孤立林」が周りの住宅地に与える影響や、生態系サービスを高める街路樹の形態などについても、鳥類との関係を通じて研究が進められています。
こうした研究は、その空間における人の快適な暮らしを確立した上で、生き物にとってもよい環境を提案するというものです。生物多様性や生態系と空間の関係についての学問は、「景観生態学」と呼ばれています。さらに景観生態学は「ランドスケープ(景観)学」の一分野で、ランドスケープ学では、都市や地域の空間に対して生態系だけでなく歴史や文化などさまざまな視点を持つことが大切です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

神戸女学院大学 生命環境学部 生命環境学科 講師 髙林 裕 先生

神戸女学院大学 生命環境学部 生命環境学科 講師 髙林 裕 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

景観生態学

先生が目指すSDGs

メッセージ

幼稚園の頃、将来の夢は鳥博士でした。その後、小中高と鳥への関心は薄れていったのですが、ひょんなことからランドスケープの研究室に入り、いま鳥の研究をしています。そんな自分を振り返ると、興味関心のタネは自分が思っている以上に人生に影響する可能性があると思います。もし迷った時は、自分は昔何が好きだったのかを考えてみると、面白いストーリーが見つかるかもしれません。幅広く関心を持っていろいろなことを吸収し、時に立ち止まって自分の好きなものは何か考えてみてください。

神戸女学院大学に関心を持ったあなたは

創立150年を迎える神戸女学院大学。徹底した少人数教育で、授業の7割が20人以下で行われ、学生と教員の距離が近く双方向で質問のしやすい環境が特長です。また、リベラルアーツのカリキュラムで実技を含む他学科の専門分野の科目を多く履修することができ、自由な学びが展開できます。「就職に強い!神戸女学院」として、人気の航空業界をはじめ、マスコミ、製造、各業界に多くの卒業生を輩出しています。2024年には国際学部と心理学部が開設され、2025年には生命環境学部が新しくSTART!