植物が日光をたっぷり浴びても「日焼け」しないワケ

植物にとって光は「諸刃の剣」
人が紫外線を過剰に浴びると、やけどのような日焼けをします。同様に、植物にも多すぎる光は有害です。光合成をする植物に光は必須ですが、光合成に利用できるエネルギーには限りがあります。利用しきれない光エネルギーが生じると、活性酸素ができ、タンパク質や細胞膜、DNAを酸化して傷つけるのです。このように、植物にとっても光は益にも毒にもなる「諸刃の剣」です。しかし、自分で動いて光を避けられない植物は、光を浴びすぎてもそれだけで枯れることはありません。この活性酸素を除去する仕組みを備えているからです。
活性酸素を除去するビタミンC
活性酸素を除去する役割を果たすのは、植物が蓄えているビタミンCです。ビタミンCは還元剤として働き、活性酸素による酸化反応を抑えます。活性酸素には4種類があり、そのうち3種類をビタミンCが直接除去します。残る過酸化水素だけは効果的に消せませんが、植物は進化の過程で植物特有の酵素であるアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)を獲得しており、これがビタミンCを使いながら、過酸化水素を素早く分解します。植物は過剰な光エネルギーを受けて発生する活性酸素を、ビタミンCを使って次々と除去するため、「日焼け」しないのです。
毒にも薬にもなる?
従来、活性酸素は細胞を傷つける「毒」であると考えられていました。しかし近年の研究で、活性酸素は生物の成長や発達にかかわる「シグナル分子」でもあることがわかってきました。例えば、植物の根の発達には、活性酸素が植物ホルモンのように働きます。また、あらかじめ植物を過酸化水素にさらしておくと、その後に強いストレスを与えても枯れにくくなります。活性酸素に「薬」のような働きがあるのなら、ビタミンCがシグナル分子としての活性酸素の働きを阻害しないようにする仕組みもあるはずです。このように、植物がなぜ「日焼け」をしないのかを調べていけば、植物が持っている巧妙な仕組みが見えてくるはずです。
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