AIの「なぜ」を数学で解明! 自動運転の未来とデータ駆動型力学系

なぜAIはそう予測したか?
気象予測や感染症の拡大など、大量のデータから未来を予測するAI技術が普及しています。しかし現在のAIは、なぜそう予測したのかという「途中の過程」がわかりません。そこで注目されているのが、大量のデータからものが動く仕組みを見いだす「データ駆動型力学系」という数学の分野です。「力学系」とは、時間が経つにつれて変化する現象の法則を数学的に表すものです。データの裏にあるメカニズムがわかれば、どういう理由でその予測が出たのかという「根拠」を正しく理解できるようになります。
大量のデータから法則を見いだす
データ駆動的力学系で用いられる一つの方法が、「遅延座標系」という方法です。時間と共に変わる数値を、今の数値と少し前の数値とでセットにして、多次元の空間にグラフとして描きます。そこにできあがる図形の「形」や「軌跡の重なり方」を幾何学的なアプローチで分析するのです。すると、単に時間の経過に沿って数値を眺めるだけでは見えてこない、データの裏に隠された複雑な法則が浮かび上がってきます。
かつては、現象の法則を知るには、仮説を立てて実験を繰り返すしかありませんでした。しかし、大量のデータが入手できる現代だからこそ、データそのものから直接法則を見つけだす技術が社会で強く求められているのです。
データセンターなしで自動運転?
もう一つ、データ駆動的力学系で画期的な研究は、AIの機械学習を圧倒的に軽量化できる「レザバーコンピューティング」という技術との融合です。巨大なデータセンターを介さず、車に積んだ小さなコンピュータだけで複雑な動きを学習できる可能性を秘めています。現在、この数理モデルを元に、搭載した小型コンピュータのみで自律走行する「AI自動運転ラジコン」の実装実験が進行しています。この研究が進めば、通信遅延のない真に安全でスマートな次世代自動運転社会の実現へとつながっていくはずです。
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