AI、ロボット、車から身近な機器まで支える「人間の研究」

人を知ることの重要性
情報工学というと、AIやロボットそのものを研究する学問だというイメージを持たれがちです。しかし実際には、それを使う人間を理解することも欠かせません。なぜなら、人間は同じ場面でも、気づきや判断、感じ方が一人一人異なります。例えば自動車の運転では、ハンドルを切ったときに車がどう動くかを直感的にイメージして理解できる人もいれば、それが苦手な人もいます。こうした違いを踏まえ、人が理解しやすい形で情報を伝えることが、安全で使いやすいシステムには欠かせません。情報工学では、機械だけでなく「人間」を知ることも大切なのです。
「どう伝えるか」まで設計する
人間をサポートする技術は、「正しい情報を示せば十分」というわけではありません。ドライビングシミュレーターを使った実験で、速度を出しすぎたドライバーへの注意の仕方によって、ドライバーの反応が変わることが調べられました。例えば、注意点を「速度を守ると緊急時に対応できます」とポジティブに伝える場合と、「速度を守らないと緊急時に対応できません」とネガティブに伝える場合とでは、ドライバーの受け取り方が異なりました。さらに、同じ内容でも、ただのスピーカーが伝えるのか、小型ロボットが伝えるのかで、反応が異なるドライバーがいました。つまり、システムを設計する際には、情報の内容だけでなく、使い手が情報をどう受け取るか、まで考えることが欠かせないのです。
新しい技術と人の関係を探る
これからAIや自動化の技術がさらに進んでも、最終的にそれを使い、社会の中で生かすのは人間です。だからこそ、人間の特性や個性を踏まえた設計が重要なのです。人間を科学的に理解しようとする研究は、技術が進歩するほどにその重要性を増していきます。「人間にとって使いやすく、信頼できる技術をどう実現するか」という問いに向き合う姿勢が、これからの情報工学に求められるのです。
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京都工芸繊維大学 工芸科学部 情報工学課程 教授 西崎 友規子 先生
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