子どもの絵と日本画に共通する視点

子どもの絵はなぜ違って見えるのか
子どもの頃に描いた絵を見返すと、大人の絵とは異なる不思議さを感じることがあります。形が崩れていたり、見えないはずの部分まで描かれていたりすることもあります。しかしそれは間違いではありません。子どもは見たままを正確に写すのではなく、「知っていること」や「感じていること」をもとに描いています。つまり、子どもの絵は外側の見え方ではなく、その子の内側の理解や思いが表れたものといえます。こうした描き方は、単なる未熟さではなく、世界をどのようにとらえているかという認識のあり方とも関係しています。
日本画に見る「見え方」の表現
こうした表現は、日本画にも見られます。尾形光琳の国宝《燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)》では、花の細部を写実的に描くのではなく、同じ花の形や配置を繰り返し描写することで、燕子花の印象を表しています。そこでは、見たままを再現することよりも、「どのようにとらえたか」が重視されています。写実とは異なる方法で対象を表すこの考え方は、子どもの絵と共通する視点といえるでしょう。子どもの絵にも、自分なりにとらえたものが表現されているのです。このように、美術の表現には、対象をありのまま描くだけでなく、それをどのように理解し、意味づけるかという視点が含まれています。
表現を支える保育の役割
子どもにとっての表現は、遊びや生活の中で生まれるものです。大人が描き方を教えることで形を整えることはできますが、それによって子どもの感じ方や考え方が表れにくくなることもあります。大切なのは、知識を先に与えることではなく、興味や関心をもとに試すことができる環境を用意することです。その中で子どもは自分なりの方法で表現し、世界を理解していきます。保育は、子どもの見え方や表現の過程を受け止め、支えていく営みといえます。そしてその過程に目を向けることが、子どもへの理解を深める視点にもつながっていきます。
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白百合女子大学 人間総合学部 初等教育学科 准教授 椎橋 げんき 先生
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