飼料自給率を高め、日本の酪農家を救う

輸入飼料の高騰が足かせに
いま日本の酪農は危機に直面しています。酪農家の減少は止まらず、2024年にはついに1万戸を割り込みました。なんとか経営を維持している酪農家も、多くが赤字だといわれています。このままだと、新鮮で質のよい牛乳を手ごろな価格で飲むことが難しくなるかもしれません。要因の一つはトウモロコシをはじめとした輸入飼料の価格高騰です。長引く円安に加えて、輸送費なども上昇しています。こうした状況の中、注目されているのが飼料自給率を高める研究です。
コーヒーかすも?
牧草や穀物などを発酵させて作る飼料を「サイレージ」といいます。水分を比較的多く含み、保存性が高いことから酪農では広く利用されています。栄養価の高い良質なサイレージはすでにありますが、「確実に質のよいサイレージを安く作る方法」は確立されていません。それが確立されれば、国産の牧草や穀物でまかなえる餌の量を大幅に増やせると期待され、研究が進んでいます。
また、食品工場から出る野菜くずなどの食品副産物を飼料として活用する「エコフィード」も有効な手段の一つです。さらに、コーヒーかすや粉砕した木くずなど、エコフィードとはみなされてこなかった素材の利用も研究されるようになりました。栄養価だけでなく、どのような状態で、どんな飼料と組み合わせて与えると乳量や乳質が向上するのか、といった実験が行われています。
太陽光発電との組み合わせ
飼料自給率の向上とは別の取り組みとして、太陽光発電との組み合わせにも関心が高まっています。土の上に設置した太陽光パネルでは、下に生えた草を放置すると発電効率の低下につながります。その草を牛に食べてもらうという発想です。牛が自由に移動できるよう、太陽光パネルは斜めではなく縦に設置しますが、管理の手間が減るだけでなく、発電効率も高い上、乳量や乳質への影響もありません。今後は、牧草地での太陽光発電により収入を得ながら、経営を安定させる酪農家が増えていくかもしれません。
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酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 講師 土井 和也 先生
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