みんな集まれ! 運動嫌いを生まない体育とは?

ゆっくりでも持久力は向上する
持久走が苦手な子どもが多いのは、速く走ることを強制されるからです。必要以上に頑張らされることで、きつい、苦しいという意識が植え付けられます。それを解消するには、子どもに選択させることです。友だちと競争するのか、自己ベストに挑むのか、歩かず走り切ることをめざすのか、友だちと話しながらゆっくり走るのか、自己決定させることで、ランニングに対して前向きになれます。限界に挑まないと身体能力は上がらないと考えられがちですが、ゆっくり長く走ることでも持久力は向上します。ダラダラ走っても問題ないのです。
経験を積ませること
もう一つ、苦手な子どもが多いのが球技です。体力測定の「ボール投げ」も年々数値が下がっています。原因としては、幼少期に投げる遊びをしていないことが大きいです。投げる動作は非日常的で複雑なことから経験がものを言うため、「投げる機会」を与えることが有効です。バスケットボールであれば3人対3人にする、あるいは半分のコートだけ使うなどして投げる機会が増えれば、少なくとも「嫌なこと」という意識は消えていきます。体育の授業の目的は上手になることよりも、その種目を楽しめるようになることが優先です。
運動不足を解消するには
現代はさまざまなものがデジタル化され、電動キックボードや電動アシスト自転車のレンタルサービスが普及するなど、歩かなくてもいい世の中になってきています。それもあって運動から離れる人は多く、特に女性ほど顕著です。運動不足のまま大人になるとその後も体力が付きにくく、生活習慣病や要介護のリスクも高まります。そういう人が「運動をしよう!」と思い立っても、いきなり本格的なスポーツに取り組むのはハードルが高いものです。例えば隣の人と手をつないだままフラフープを送るリレーのように、レクリエーション的なゲームから始めるのが現実的です。子どもへの教育と同様に、大人も体を動かすことが楽しいと感じることが大事なのです。
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椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 佐藤 善人 先生
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