あなたの読み書き能力は大丈夫? スマホ時代のリテラシー危機

読解力スコアが示す危機のサイン
日本は、国際的な学習到達度調査(PISA)において高校生の読解力スコアがこれまでに二度、大幅に下落する「PISAショック」を経験しました。一度目はゆとり教育、二度目はスマートフォンやSNSの普及が原因として指摘され、いずれも大きな社会問題となりました。現在はやや回復傾向にあるものの、スマートフォンの使用開始年齢が小学生にまで下がっていることから、三度目の下落が懸念されています。
ショート動画のわな
この問題の背景には、脳のメカニズムが深く関わっています。人間の思考には「努力が要らない直感的な反応(システム1)」と「複雑な問題を解く論理的思考(システム2)」の二種類があります。SNSにあふれるショート動画はシステム1に働きかけて、脳内にドーパミン(快楽物質)を次々と放出させます。夢中になれる一方、その内容は翌日にはほぼ忘れてしまいます。長文を読んだり、まとまった文章を書いたりするにはシステム2を使う必要があり、集中力や忍耐力が欠かせません。そのため自然に身に付くものではなく、訓練によって育つと考えられています。しかし大学でも、主語と述語のねじれや修飾語の順序など、文章の基本的なルールさえも一度も習ったことがないという学生が少なくないのが現状です。
歴史に学ぶ
では、文章の読み書き能力(リテラシー)はどのようにして身に付くのでしょうか。そのヒントは歴史の中にもあります。例えば、明治期には、農業中心の生活から工業・ビジネス社会へ適応するための「言葉の教育」が行われました。学制の導入により、江戸時代での身近な職業語を身に付けるための教育から、全国共通の語彙(ごい)や文法を学ぶ教育に転換したのです。この教育により、人々がどう言葉を身に付けていったのかを分析することは、現代の国語教育にも役立つことが期待されます。そのほかにも、手書きの効果や、教科書のデジタル化が与える影響など、多様な視点からの研究が進められています。
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東海大学 文化社会学部 広報メディア学科 教授 増田 芽衣 先生
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