言語や概念を「獲得」して行動するAIロボット

言葉を理解して動く
ロボットやAIに関する技術が進化した現在でも、言葉による指示を理解してさまざまな作業を自律的に行えるAIロボットの実現は難しく、まだ限定的な環境でしか実用化されていません。
例えば、「キッチンからコップを持ってきて」と頼むとします。ロボットは「キッチン」や「コップ」という言葉が意味する場所や物体を推測して動く必要があります。しかし、これらの言葉が示す領域や対象は家庭や個人ごとに異なるため、それらの「概念」を現場の経験から獲得しなければなりません。
人間の幼児のように学ぶ
近年はChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)をロボットの行動計画に活用することで、多様な言語指示への柔軟な対応が現実味を帯びてきました。ただ、LLMは、膨大なデータと計算資源を必要とします。一方、人間の幼児は、限られた身体経験の中で言語や概念を獲得していきます。その過程と同じように、ロボットが他者との対話や実世界での経験を通して言葉や概念を獲得する「記号創発ロボティクス」という研究が行われています。
それを実現するために、ロボットがセンサー情報から不確実な実世界を自律的に学習する「確率的生成モデル」の開発も進められています。このモデルにより、新しい環境でも短期間で適応できるだけでなく、人やロボットとの相互作用を通して言葉の意味を共有し、実世界への理解を深めることが期待されています。
AIロボットと共にある未来
記号創発ロボティクスの研究が進んでいけば、家庭で人間の生活をサポートする「生活支援ロボット」が実現できます。少子高齢化が進む日本では、介護や育児の場でロボットが人間のパートナーとして機能する社会への期待は高く、研究の意義は大きいと言えます。その先には、AIロボットが人間とコミュニケーションをとりながら協力し、新たな価値を生み出す「共創的な関係」の実現も視野に入ってきます。AIロボットが人間の知を拡張し、共により良い社会を実現する未来に向かって、研究が着実に進められています。
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創価大学 理工学部 情報システム工学科 准教授 萩原 良信 先生
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