祭りは誰のもの? 変わる運営の仕組みと地域の営み

祭りを継承するための課題
祭りの時に山車を引いたり担いだりする出し物を「山・鉾(ほこ)・屋台行事」と言います。例えば、有名なものでは「京都祇園祭の山鉾行事」、茨城県の「日立風流物」があります。現在ユネスコ無形文化遺産に登録されているものだけでも全国に37件ありますが、こうした祭礼行事を保存・継承していくには、さまざまな課題があります。
例えば、山車の組み立て、引き回し、深夜の解体を見ても、多大な労力と費用がかかります。そして時にはけが人が出ることもあります。祭りの運営主体となるのは地域住民で、参加することが共同体への帰属意識を示していました。しかし、今その当たり前が失われつつある地域もあります。背景には、少子高齢化だけでは説明できない実情があります。
「保存会」が生んだ副作用
祭礼行事は神社の氏子組織によって運営されます。ところが戦後の政教分離政策により、氏子組織に直接補助金を出すことができなくなりました。その受け皿として生まれた組織の一つが保存会です。
これは祭りを守る有効な仕組みでしたが、デメリットもありました。一つは、保存会では組織の若返りがうまく機能しなかったことです。家一軒につき一人が参加するという形で常に新陳代謝する氏子組織とは異なり、保存会は気がつけば年配者ばかりで、若者が入りづらい状況が生まれていました。また、保存会ができたことで地域住民は山・鉾・屋台行事を「保存会のもの」と認識するようになり、自らも担い手であるという意識が薄れてしまったのです。
人の「気持ち」が原動力
運営に多くの苦労がつきまといながら、それでも祭りを続けていくのはなぜでしょうか。ある保存会の会長は「喜ぶ人を見るのが嬉しい」と言います。また、ある人は、「(年に一回の)祭りのために仕事をして、祭りのために生きているのだ」と言います。担い手の人々を突き動かしているのは、祭りを執り行う誇らしさや喜びです。祭りとは、その形だけではなく、人々の営みの中にあることに本質があるのです。
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