なぜ心理学に数学(統計)が必要なのか

実験データから「心」をモデル化する
心理学とは、目に見えない「心」とは何かを探究する、いわば心を科学する学問です。19世紀後半に始まった心理学の実験は、現在も発展を続けています。実験データの結果が条件によって異なる時、そこに心の働きが関わっていると考えて推論を進めていくのですが、その裏付けをデータから検証するには、数学の助けが必要です。心理統計や心理測定を道具として使い、心を「モデル化」していきます。こうした考え方や技術はすべての心理学分野で生かすことができます。
小さなデータからも推論できる
かつては哲学の分野だった心理学はいまやサイエンスとして成立していますが、心は物理的な対象ではなく、質量などを測ることができません。データを取って、「ある刺激に対してこのような反応がある」などとパターンや物事との関係性を推論していきます。ただ、社会科学のように、何千人何万人という規模の統計を利用するのではなく、心理学では個々人のデータを取ります。少なければ1人からでも推論が可能なのです。その小さいサンプルから人間全体の「心のモデル」を推測するために、推測統計学という技術があります。心という見えないものを推測するのですから、そこには幾重にも、プロセスや技術が必要になるわけです。
アンケート調査に使われる心理統計
こうした心理測定や心理統計は、マーケティング分野のアンケート調査にも役立つ分析方法です。実は私たちが目にするさまざまなアンケートには、心理学の知見が生かされています。例えば、医療の満足度を尋ねるような場合、生命の尊厳やプライバシーなどの倫理面や心理面でさまざまな配慮を行います。また、数ページにわたるアンケートの場合、途中できちんと回答しているかどうかを見るための引っかけのような質問を入れることもします。意外なところでは、学力テストの採点にも用いられています。心であれ学力であれ、目に見えないものを扱うという意味では、心理統計と同じものなのです。
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