「スマホがやめられない」は意志の問題じゃない

「スマホがやめられない」は意志の問題じゃない

依存は「自己治療」

スマホやゲームがやめられず、「これって依存かな」と思った経験は誰にでもあるでしょう。人間はもともと、何かに依存して生きる生き物です。家族や友人、趣味など、さまざまなものに支えられて生きています。問題になるのは、依存によって睡眠や勉強、人間関係といった日々の生活が立ち行かなくなるときです。
アルコールや薬物、ギャンブルへの依存は「意志が弱いから」と思われがちです。しかし依存症の人たちと向き合ってみると、孤立や生きづらさから逃れるために、依存に「たどり着いた」人が多いことがわかります。研究では、依存症がつらさを和らげようとする「自己治療」として機能していると考えられています。

考え方と行動のパターンを見直す

依存症の治療の一つに、認知行動療法があります。問題を生み出している考え方や行動の「パターン」を一緒に見つけて、それらを少しずつ広げていくことで、よりよい生活をめざす心理療法です。ジムで筋トレのやり方を覚えれば家でも続けられるように、認知行動療法で身につけた考え方や行動の「パターン」は日常生活でも役立つかもしれません。
認知行動療法の研究では、依存症と「失敗恐怖」の関係にも注目が集まってきました。研究では、失敗を強く恐れる傾向がある人ほどギャンブル依存の症状が重くなりやすいことが示されています。失敗を恐れて何もできないでいるうちに、気晴らしや逃げ場として何かに過度に依存するリスクが高まるのかもしれません。

偏見をなくすこと

依存症への偏見は根強く、問題が起きると病気の可能性を考えるよりも、個人の意志の問題として片付けられてしまいます。薬物依存に必要なのは「治療」なのに、社会から厳しいバッシングを受けがちです。依存症の背景には、助けを求められる居場所や人間関係を持てなかった社会構造が隠れています。依存症の心理や社会的背景を明らかにする研究を通じて、正しい知識を社会に広め、依存症を「個人の問題」から「社会の問題」へととらえ直すことが、より健全な社会への一歩になります。

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長野大学 社会福祉学部  准教授 緒方 慶三郎 先生

長野大学 社会福祉学部 准教授 緒方 慶三郎 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

認知行動療法、心理学

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メッセージ

心理学は、「人はなぜこんなことをするのだろう」「自分とは何だろう」という問いと向き合う学問です。あらゆる人間の営みとつながっており、学ぶほどに答えが出ないこともありますが、だからこそ面白いのです。その視点からも、ぜひ失敗を恐れずに挑戦してください。失敗を避け続けると、チャレンジそのものをしなくなり、可能性が狭まります。学校や大学は、安全に失敗できる貴重な場所です。恥をかいても、うまくいかなくても、そうした経験の積み重ねが、あなたの学びと成長につながっていきます。

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長野大学は、1966年に地域の熱い期待を背負って誕生した「地域立」の大学です。本学は地域にある課題を発見し、地域とともに解決していく実践的な学びを大切にしています。地域には豊かな自然環境や歴史が宿る文化遺産、経済を牽引する産業や観光資源、安心して暮らせるまちづくりなど学びの要素があふれています。地域社会をフィールドに、主体的に考える力や、問題に対して多面的に取り組む力を養いながら漠然とした問題を明確化し、逆境に立ち向かっていける足腰の強い人材を育成します。