「ケアの空白地帯」を埋めていく

「ケアの空白地帯」を埋めていく

カリキュラムにない「生理ケア」

ケアの専門職である介護福祉士の養成課程では、食事介助や排せつケアなどは体系的に教育されています。一方で、障害のある女性の「生理ケア」は十分に体系化されておらず、これまでの歴史的・社会的背景から、教育の対象として十分に扱われてこなかった側面があります。
また、現場ではプライバシーへの配慮が求められる一方で、支援内容が支援者の経験に依拠することも少なくありません。そのため、自己表出が難しい人にとっては、望ましい支援を受けにくい状況もあり得ます。

一人一人の状況を丁寧に観る

これまでの調査では、生理ケアに関する教育や支援の必要性が示されています。そのため、適切な生理ケアには、まずどういう視点で対象者を見て、どんな情報を得るのかという、支援に必要なアセスメントのツール開発が求められます。
問診票のように、支援に必要な情報を整理する形式で、初めて生理が来た年齢や1回の生理期間といった基本情報、生理期間中の様子、行動範囲の変化、食事摂取量の増加などをチェックし、それを基に適切なケアにつなげていきます。このツールが実用化されれば、生理に関する情報を把握する視点が支援者に共有され、支援者間での情報共有の土台にもなるでしょう。

尊厳を守るケアのために

障害者支援では、障害の状況などによる個別性が高く、本人が状況を言語化できない場合や、性に関することは羞恥心から伝えづらいというケースもあります。しかし、人として心豊かな生活を送れるよう支援するためには、生理ケアなど「語られないケア」の領域をなくしていく必要があります。「このケアがよかった」と正解を出せるのは当事者だけです。だからこそ支援者は、根拠のある知識と技術を身につけながら、「この人がどう生きていきたいのか」を考え続けることが大切なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 准教授 相場 恵 先生

東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 准教授 相場 恵 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会福祉学、介護福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今の日本社会を支えていくために必要な介護の分野に興味を持ってもらえるとうれしいです。そして、大学でさまざまなことを学ぶ前に、まずは「自分ではない人たち」の生活を意識してみてください。例えば友だちとお弁当を食べているとき、お弁当の量や内容、食べる順番などにもその人の価値が表れています。それを否定も評価もせず、「この人は今これを大切にしているんだな」と受け入れます。このようにしていろいろな人に興味を持ちながら関わりを積み重ねる中で、福祉や介護について考えてほしいです。

先生への質問

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東北福祉大学に関心を持ったあなたは

東北福祉大学は、「行学一如」(理論と実践の融合)を建学の精神に掲げ、SDGsや地域共生社会の実現に貢献する人材の育成に努めています。本学は福祉・心理・行政・経営・教育・看護・リハビリ・医療事務が学べる4学部8学科の幅広い学びを擁する全国有数の福祉系大学です。キャンパス内には、特別養護老人ホームや保育園、幼稚園、附属病院などがあり、学生の実習やボランティア活動の場にもなっています。大学で学んだ知識を、現場で実践することにより、実践力及び考察する力・理論化する力を兼ね備えた人材の育成をめざします。