地球上で最も豊富な資源を活用したい! セルロースの謎を解く

地球上で最も豊富な資源を活用したい! セルロースの謎を解く

石油依存からの脱却をめざす

「セルロース」は、地球上に生物が誕生したときから存在する物質です。森の樹木から海の海藻まで、すべての植物や藻類の細胞壁を構成する糖の一種であり、地球上で最も豊富な生物資源(バイオマス)と言われています。
日本は森林資源が豊富で、切り落とした枝や間伐材なども資源として活用できれば、石油への依存度の低減に役立ちます。そのときに重要なのが、このセルロースの研究です。

斜面の樹がまっすぐに伸びる理由

樹木は急斜面でも倒れずにまっすぐに立っていることができます。その秘密もセルロースにあります。
針葉樹では斜面の下側から押し上げる力が、広葉樹では斜面の上側から引っ張り上げる力が幹の内部で働いています。幹の細胞を調べた結果、傾いた針葉樹の下側の細胞では、細胞壁が分厚く丸くなっており、押し上げる力を生み出していることがわかりました。また、傾いた広葉樹の上側の細胞では、ほぼセルロースのみの層があり、それが引っ張り上げる力を生み出していました。
こうした樹木の構造やセルロースの分布に関する知識が、将来の木材利用のカギになります。

セルロースの分子構造を知る

植物の細胞壁は、セルロースの分子が何本もより合わさり、縄がぐるぐると巻き付いているような頑丈な構造をしていることがわかっています。これが、巨大な樹を支える強さになっています。
こうしたセルロースの構造は、観察機器の発達によって分析できるようになりました。最近、特に注目を集めているのが「テラヘルツ波」を使った分析方法です。テラヘルツ波とは、波長の長さが赤外線と電波の間の領域の電磁波で、これを照射することで、植物の種類ごとにセルロース分子の結晶構造の違いを明らかにできます。
セルロースの利用方法の可能性として現在、話題になっているのが、セルロースナノファイバーという新しい工業材料です。こうした材料を作る際にも、セルロース分子の結晶構造を知ることが大切なのです。

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名古屋大学 農学部 生物環境科学科 木材物理学研究室 助教 王 晗 先生

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メッセージ

画期的な発見が生まれるのは、無数の研究の積み重ねの結果です。人類が今持っている知識は、宇宙全体の真実から言えばほんの一部です。私が博士論文を書いたとき、小さくても今まで誰も知らなかった知識を自分が見つけられたこと、それが論文として多くの研究者の目に触れて、人類の知識を一つ増やし、将来の大きな発見の一助になるかもしれないということが、この上ない喜びでした。まだまだ、この世界には未知のことがたくさんあります。あなたも人類に新しい知識を一つ増やす喜びをぜひ味わってください。

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