講義No.16040 看護学 医学

コミュニケーションが変える、がん医療の未来

コミュニケーションが変える、がん医療の未来

「質問しづらい」は命にかかわる

病院を受診したとき、「説明が難しいな」「質問しづらいな」と思ったことはありませんか?
医療におけるコミュニケーションは、患者の命にかかわる大切な情報を、患者と医療者が伝えあう重要なやりとりです。医療者が一方的に話し、専門用語を使って説明する「悪い」コミュニケーションは、がん患者の不安を強め、情報が正しく伝わらない可能性があります。その問題を解決しようとするのが、がん医療におけるコミュニケーション研究です。

日本のがん患者が希望するコミュニケーション

では、がん患者はどのようなコミュニケーションを望んでいるのでしょうか。国内の調査では、日本のがん患者の多くが、「医療者に温かく接してほしい」「質問を促してほしい」と考えていることが明らかになりました。そのほかにも、日本のがん患者の多くが望むコミュニケーション、望まないコミュニケーション、人によって意向が分かれるコミュニケーションがわかってきました。そうした意向を基に、がん患者-医療者間のコミュニケーション向上をめざすプログラムの開発と普及が進められています。

コミュニケーションががん医療を変える

その一つが、医師向けのコミュニケーション・スキル・トレーニング「SHARE(シェア)」です。SHAREでは、患者役とのロール・プレイを通して、がんの診断や再発など、患者にとっての重大な知らせを伝える練習をします。SHAREを受講した医師の患者は、気持ちの落ち込みが軽くなり、医師への信頼が高まることが研究で確認されています。また、患者向けには、医師との面談前に患者が質問内容を整理できる「質問促進リスト」も開発され、普及が進められています。
かつて医療業界では、医師が方針を決め、患者がそれに従う形が一般的でした。しかし、今は患者と医療者が共に考え、患者が納得して決める形へと変わりつつあります。がん医療におけるコミュニケーション研究は、これからのがん医療のあり方そのものを変えていく可能性があります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

関西医科大学 看護学部 治療看護分野 がん看護学領域 教授 白井 由紀 先生

関西医科大学 看護学部 治療看護分野 がん看護学領域 教授 白井 由紀 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

がん看護学、精神腫瘍学、緩和医療学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたの「好き」や「興味関心」を大切にしてください。数十年前、高校生だった私は大学の看護学専攻を選択しました。けれど、そのときは、今の自分の姿(大学教員)を思い描いてはいませんでした。なんとなく「興味関心」があって飛び込んだ「看護」という専門分野の中で、「好き」なことやたくさんの方との出会いに導かれて、今ここにいます。「面白そう」「気になる」と感じたことに飛び込んでみてください。「得意」「嫌じゃない」ことも大事です。看護学は広くて深いです。きっとあなたの「好き」にフィットするものが見つかります。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

関西医科大学に関心を持ったあなたは

関西医科大学は大阪府枚方市に位置し、医学部・看護学部・リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科)を有する医療系複合大学です。急性期医療から在宅医療まで揃う附属医療機関を擁する強みを活かし、医療現場の実情に即したチーム医療を学修。3学部合同授業を通して各職種の役割を尊重・理解することで幅広い視野をもつ学生を育成します。
学内には最新の医療現場に対応した演習設備や機器も充実。臨床現場の実践に近い環境下で繰り返し演習することで、確かな技術はもちろん、状況に応じた判断力・対応力を養います。