精神疾患のある親の子育てをどう支える? 対話重視の精神看護

「助けてほしい」と言えない
子育ては、誰しも楽しいこともあれば大変なこともあります。しかし親に精神疾患があった場合、どうなるでしょうか。「精神看護」という、精神疾患がある人がその人らしく生活できるよう支援する看護の領域があります。2000年代後半頃まで、日本では精神疾患のある親への子育て支援はほとんどありませんでした。「子育てできない親」とみなされるという偏見もあり、本人たちは「困っている」「助けてほしい」と言えない状況で、孤独と戦っていました。
子どもへの共通理解を形成
2005年前後から、日本でも精神疾患のある親のリカバリーを促進し、エンパワメントするような子育て支援が研究されるようになりました。それまでは、親の問題点に焦点があてられた研究が主流であり、かつ子どもへの支援は、メンタルヘルスの問題などが生じてから始まるような状況でした。
このような状況を打破すべく開発されたのが、「LTC(Let’s Talk about Children)」という、親や子どもにある強みに依拠した対話型の支援法です。子どもの日常生活をできるだけよくするために、親と支援者が、子育てや子どもについて対話します。子育てについてあまり話さなかった親が、思いがあふれ出るように語ることも珍しくありません。対話を通じて、親と支援者が子どもや家族に対する共通理解を持ち、子どものよりよい成長・発達の促進、精神的問題の予防につながります。一人ひとりに合わせた支援により、親は自分らしい子育てが実現できるのです。
幅広い活用の場
近年、LTCへの関心が高まっており、今後は医療機関のみならず、福祉や教育機関などとの連携が望まれます。LTCは汎用性が高く、精神疾患のない親にも有益なため、教育現場などでも活用可能です。関心を持つ保健師は多く、乳幼児健診に使われることも遠くないでしょう。またLTCには「家事」の項目もあります。ヤングケアラーが社会問題となっている今、気づくきっかけにもなり、適切な支援につなげることができます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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