バイオメカニクスで探る、筋肉の最適なカタチ

筋肉の大きさイコール筋力じゃない
私たちが体を動かす際に伸び縮みさせているのが、全身のさまざまな骨格筋です。骨格筋の力はとても重要で、筋トレにより筋力をアップすることは病気やけがの予防・改善、スポーツのパフォーマンス向上、ダイエットなどに効果的です。
筋肉が力を出すには筋肉の量が重要ですが、「筋肉量=筋力」とは限りません。画像検査の技術が進化して、量だけでなく質、形状など、さまざまな角度から筋肉や筋力を調べる研究が進められています。
MRIで形の違いを研究
MRIの三次元画像から大腿四頭筋の形態(形)を調べ、形の違いが力の発揮にどのような影響をおよぼすかを調べる研究が行われています。研究の結果、太ももの真ん中にある大腿直筋がカーブを描くような形状の人や太ももの内側にある内側広筋の遠位部が大きく膨隆した形状の人は、そうでない人に比べ、ひざを伸ばす力を大きく発揮できることが明らかになりました。「筋力(関節の回転力)=力×回転軸からの距離」であり、そうした大腿直筋の特徴を持つ人は、ひざを伸ばしたときに回転軸からの距離が大きくなります。研究で得られたデータが力学的にも裏付けられています。
体の仕組みや動きを数値化
これらの研究の特徴は、数理モデルにより筋肉の形を定量化(数値化)していることです。いろいろな人の筋肉の画像をもとに、プログラミングや統計推論を用いて導き出したオリジナルの数理モデルを活用します。ある特徴を持つ人とそうでない人の比較も、数値化して初めてできるようになります。
このように生物の体の仕組みや動きを力学・物理学の視点から数値化して研究する学問を「バイオメカニクス」といいます。まだ新しい分野で、わかっていないことが多くあります。筋肉の形についても、今後の研究で「スポーツ競技や病気の種類によって特徴的な形はあるのか」「形はトレーニングによって変わるのか」といった疑問の答えが明らかになれば、効果的な筋トレやリハビリに生かすことが期待されています。
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