電波望遠鏡で迫る、星と惑星の誕生の謎

電波望遠鏡で迫る、星と惑星の誕生の謎

星が生まれる分子雲

夜空を見上げると光り輝く星が見えます。これは、数千度を超える恒星の表面が光を放っているからです。一方、星を生みだす「分子雲」は目で見ることができません。水素ガスやちりの集まりである分子雲は「10ケルビン(マイナス約260度)の世界」と呼ばれるほど冷たく、自ら光を発しないためです。
分子雲の観測には、分子雲が出す電波をとらえる電波望遠鏡を使います。電波望遠鏡は、一見何もないかのような星々の間の暗い空間に、星や惑星が誕生する手がかりを探し出すことが可能なのです。

複数の電波望遠鏡をつなげる

電波望遠鏡はパラボラアンテナの直径(口径)が大きいほど解像度が高くなりますが、1台の望遠鏡の大きさには限界があります。そこで、複数の望遠鏡を連動させて一つの大きな電波望遠鏡として機能させる「干渉計」というシステムが使われています。南米のチリにあるアルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)は、口径10メートル前後の66台のアンテナを連動させることで、仮想的に口径16kmの電波望遠鏡に匹敵する解像度を得ることが可能です。
こうした電波望遠鏡の進歩により、精度の高い観測データが大量に得られるようになりました。データを解析するための数理モデルや、ビッグデータを管理するための技術開発も進められています。

ブラックホールも撮影

2017年、史上初めてブラックホールが撮影されました。これは、地球上の複数の電波望遠鏡をつなげた地球規模の干渉計(EHT)によるものです。さらに電波望遠鏡を宇宙に打ち上げ、EHTを拡張するミッションも計画されています。単独の宇宙電波望遠鏡としても、地上からは観測できない宇宙空間の酸素分子などの観測に活躍できると期待されます。
そのほか、分子雲の元となる水素原子の分布などが観測できる低周波の電波望遠鏡(SKA)も建設中です。さまざまな望遠鏡の観測データを用いることで、星や惑星の誕生の真相がこの先明らかにされていくはずです。

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先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 工学部 数理工学科 准教授 樋口 あや 先生

武蔵野大学 工学部 数理工学科 准教授 樋口 あや 先生

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観測天文学、宇宙物理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校時代の私は、実は物理が大の苦手でした。天文学がやりたくて物理学科に入った後もついていけるか心配でしたが、大学の物理は数学から自然にたどり着けるような勉強方法だったので、すんなり受け入れることができました。振り返ってみると、当時の高校での公式を覚える勉強方法が自分に合わなかったように思います。もし苦手な科目があったら、インターネットの動画などで別の切り口を探してみてください。苦手だと思っていた科目も、意外と簡単にわかるかもしれません。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。