友だちと話せば投票に行く? 高校の現場で実験

友だちと話せば投票に行く? 高校の現場で実験

話し合う時間を設ける

選挙は、自分にとってまだ少し遠い話だと感じている高校生も多いかもしれません。しかし、18歳選挙権の導入によって、高校生の政治意識や投票行動は重要な研究テーマになっています。
注目されているのは、高校生が政治や選挙をどう受け止め、どのようなきっかけで投票に向かうのかという点です。高校生を対象にした実験では、選挙に関する講義を聞くだけの場合よりも、その後に生徒同士で話し合う時間を設けた方が、「投票に行こう」という気持ちが高まりやすいことがわかりました。政治の知識を得るだけでなく、少しでも政治について話し合うことが、選挙への関心や行動意欲につながる可能性があるのです。

意欲を左右する「周りの空気」

ただし、話し合いの効果は、政治への関心を高める方向に働くばかりではありません。「選挙には行かない」という人が多い場合は、その雰囲気に引っ張られる傾向も見られました。話し合いは投票意欲を高めることも弱めることもあるのです。
また、高校で実施された別の実験では、選挙のチラシを渡すだけより、そのチラシをきっかけに家族や友人と話をするよう促した方が、投票に行く意欲が高まりました。投票行動は教室の中だけではなく、家庭や日常の人間関係の中でも形づくられていきます。

投票イコール政治への理解ではない

一方で、投票に行こうという気持ちが高まったからといって、それだけで政治に対する考え方が深まるわけではありません。実験からは、行動の変化と意識の変化とが、必ずしも同じ速さでは進まないことも見えてきました。選挙に行くという行動を促すことはできても、投票がすぐに政治への理解や自分なりの意見の形成に結びつくとは限らないのです。
投票という行動の変化をきっかけに、高校生がどのように政治への関心を持ち、意見形成を進めていくのがよいのか、今後さらに考えていくべき課題だと言えます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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武蔵野大学 法学部 政治学科 教授 三村 憲弘 先生

武蔵野大学 法学部 政治学科 教授 三村 憲弘 先生

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政治行動論、政治文化論、実験政治学

メッセージ

政治学はとても自由な学問で、自分らしい幸せを実現する手助けをしてくれます。政治の世界には力と力が争う側面がありますが、だからこそ政治学は、強者や多数派の意見にとらわれず、自分の意見を形成して政治を見る姿勢を大切にします。政治学を学ぶことは「自分らしさ」を追求することでもあり、それが結果的に自分らしい幸せにつながります。思想や心理、モデル分析、調査、実験、国際比較など多様なアプローチがあるのも政治学の魅力です。ぜひ自分の興味や問題意識を起点に、自分らしい視点を育てていってください。

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2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。