国ごとに異なる資本主義のかたち ロシアの経験から考える

国ごとに異なる資本主義のかたち ロシアの経験から考える

社会主義から転換したロシア

経済学の教科書には、産業革命を経て資本主義が成立したことや、それにより各国がどう発展してきたかが書かれています。しかし、そうして資本主義経済が発展してきた歴史を実際に目にした人はもういません。ところが、社会主義だったソ連が崩壊し体制転換したことで、ロシアでは資本主義経済が形成される過程が現代の出来事として現れたのです。それまでの国営企業が民営化される際には政府と関係の深かった人物が優良な資産を手に入れ、巨万の富を築きました。かつて日本で財閥が生まれたのと同じ構造が目の前で繰り返されました。教科書が「かつてこうだったはずだ」と説明してきた現象がリアルタイムで展開されたのです。

難しかった軍民転換

ソ連時代、ロシアは軍事大国として武器や兵器の開発や生産に力を注いできました。冷戦が終わると、軍事技術や工場を人々の生活に役立つ産業用に転換しようとする動きが生まれます。これを「軍民転換」といいます。しかし、武器の製造が得意だった工場も、パソコンや自動車を作るとなると全く別の話です。軍民転換はうまくいかず、1998年には経済がどん底まで落ちました。石油・天然ガスの輸出で立ち直ったロシアは今日、原子爆弾の開発で培った技術を応用して、原子力発電所の輸出を進めています。

資本主義は一つじゃない

ロシアの経験は、資本主義といってもその仕組みは一つではないことを教えてくれます。今日、多くの国が資本主義を採用していますが、中身は国によって大きく異なります。日本では終身雇用が一般的なのに対し、アメリカでは実力主義で転職が当たり前、ドイツや北欧にはまた別の特徴があります。ソ連崩壊後のロシアも欧米の制度を取り入れようとしましたが、社会主義時代の慣習と新しいルールがぶつかり合った結果、独特の経済体制が生まれました。
各国の資本主義を比べる学問が比較経済体制論です。外国の経済を研究することで、日本の特徴だけでなく、グローバル化が進む世界でのさまざまな国との向き合い方も見えてくるのです。

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神戸市外国語大学 外国語学部 ロシア学科 准教授 伏田 寛範 先生

神戸市外国語大学 外国語学部 ロシア学科 准教授 伏田 寛範 先生

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比較経済体制論、現代ロシア経済論

メッセージ

中学生のころ、小遣いでロシア語講座のテキストを買ったことがロシア研究への出発点でした。ただ、英語を避け続けてきたことを、今となっては後悔しています。苦手な科目にも面白いポイントは必ずあります。食わず嫌いにならず、まず向き合ってみましょう。夢中になれるものを一つ見つけたら、とことん深掘りしてみてください。一つわかると次の疑問が生まれ、関心は芋づる式に広がっていきます。その積み重ねが、大学に入ってからの学びを豊かにする土台になります。

神戸市外国語大学に関心を持ったあなたは

神戸市外国語大学は、外国語並びに国際文化に関する理論と実際を教授研究し、高い外国語能力、広い国際知識、深い法・経・商等の基礎的教養を具えた、人格の円満な、国際的人材を育成すると共に、地方における特殊な学術研究の中心として、文化の発展向上への寄与を目的としています。外国語の会話の中で問われるのは、その人の持つ教養、知識、さらには人間性であり、実用の語学とはそうしたものの上に立っています。未知の世界、新たな可能性に向かって歩み出したいという意欲に燃える若い人たちの期待にこたえうる魅力的な大学です。