植物の「毛」に注目! 成長のメカニズムを探る

植物の「毛」に注目! 成長のメカニズムを探る

植物が成長する仕組みとは

植物の体の形成や成長に深く関わるのが、植物体の一番外側にある表皮細胞です。根にある表皮細胞からは根毛が作られ、葉や茎の表皮細胞からは、身を守るための毛のようなトライコーム(毛状突起)が作られます。根毛やトライコームがどのように表皮細胞から分化するのか、モデル植物であるシロイヌナズナを使ってそのメカニズムが研究されています。

根毛とトライコームの深い関係

研究では、まず根毛が少なくなるシロイヌナズナの突然変異体が見つかり、その変異遺伝子が同定されCPCと名付けられました。CPCが壊れると根毛が少なくなることから、CPCは根毛形成に関わる遺伝子であると予想されました。さらに、CPC遺伝子がコードしているアミノ酸の配列から、CPCは遺伝子の転写を調節する転写因子であること、また同じような配列を持つファミリー遺伝子が複数あることがわかりました。
一方で、CPCファミリーの遺伝子が壊れて根毛がなくなると、反対にトライコームは増加します。つまり、CPCファミリー遺伝子は根毛を増やしてトライコームを減らす機能を持ち、根毛とトライコームはトレードオフの関係にあると言えます。CPCファミリー遺伝子は、根毛を増やしてより多くの栄養を吸収するか、あるいはトライコームを増やして防御を万全にするかを調節する役割を担っているようです。また、CPCファミリーのCPL3遺伝子は土壌中のリンが欠乏すると発現し、少ないリンをできるだけ取り込めるよう根毛を増やす働きをしていると考えられます。

高品質なお茶、虫を寄せ付けないトマトに応用

これまでに得られた成果を応用する研究も進んでいます。お茶はトライコームが多く含まれるほど高品質とされており、シロイヌナズナのCPCに相当するお茶の遺伝子について調べられています。また、虫が嫌う物質を出すトマトのトライコームを増やして農薬を減らす研究や、農作物の根毛を増やしてやせた土地での生産量を上げる研究など、農業への応用が期待されています。

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先生情報 / 大学情報

広島大学 生物生産学部 生物資源プログラム 教授 冨永 るみ 先生

広島大学 生物生産学部 生物資源プログラム 教授 冨永 るみ 先生

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生物学、植物分子・生理科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は生き物全般に興味があり、生物の研究をしたいと思っていたので、大学では細胞壁の研究室に入りました。細胞壁は植物の成長に深く関わる部分であり、新しい酵素を自分で発見できたこともあって面白く、そのまま大学院で細胞壁の研究を続けました。途中から、遺伝子の知識や技術も必要だと考えて勉強しました。振り返ると少し回り道だったかもしれませんが、これまで積み重ねてきたことは今の研究に生きています。急がば回れという言葉もあるように、必要だと思ったらいろいろなことに挑戦してください。

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