今日のお昼は何食べる? ー食の選択を支える栄養学ー

昼食は好みだけで決まらない
食生活を通じた健康づくりや生活習慣病の予防に取り組むのが公衆栄養学です。私たちが今日の昼に何を食べるかは、食の好みだけで決まるわけではありません。近くにどんなお店があるか、経済的な余裕はあるかという、文化、環境、経済など複数の要素が絡み合っています。公衆栄養学はそうした社会全体を見つめる視点で人々の健康を考える学問であり、体だけでなく、心や社会のつながりも満たされた「ウェルビーイング」の実現をめざしています。
塩分は多く、野菜は不足
厚生労働省の調査によると、日本人の食塩摂取量は、1日の目標7.0g未満に対して平均で9.6gと多く、野菜の摂取量は目標350gに対して平均259gと不足しています。こうした現状を改善するために進められているのが、人の2種類の意思決定モードに合わせたアプローチです。1つ目は「直感的」で、「楽しそう、おいしそう」という感覚で食の行動を決めるモード、2つ目は「理性的」で、情報をもとに論理的に判断するモードです。食習慣の改善には、直感に働きかける「ナッジ」の活用と、健康に関する正しい情報を集め、理解し、自分の生活に生かす「ヘルスリテラシー」を高めること、この2本柱が必要です。
自然に健康になる食環境づくりを
近年、ナッジを使った「自然に健康になれる持続可能な食環境づくり」をめざす取り組みが注目されています。例えば、自治体と大学が共同で制作した、減塩・野菜摂取を促すリーフレットでは、すごろくが取り入れられ、遊びながら知識が身につく仕掛けになっています。食品ロス削減を目的とした「変なかたちのやさい写真展」は、規格外の野菜に名前をつけてSNSに投稿する企画を学生が主体で考えました。現在は、大学・短大に入学したばかりの学生を対象に、食生活を調査する研究も進められています。年齢や生活状況に応じたアプローチを行うことが、より多くの人が自分らしく健康でいられる社会の実現に近づきます。
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