「なぜ?」が説明できるAIの開発

AIは判断理由を説明できない
ChatGPTのような生成AIは、膨大なデータを基に、確率の高い答えを選び出す仕組みで動いています。それらしい答えを返してはくれますが、AI自身も「なぜその答えを選んだのか」を説明できません。「なぜそうなのか」という根拠のない説明では、人は納得できず、次の行動がなかなか起こしにくいものです。そこで研究が進められているのが、「AならばB、BならばC」という論理の連鎖をAIに組み込み、どのような過程でその判断に至ったかを順序立てて示す「説明できるAI」です。
サッカーのコーチングに活用
スマートフォンで撮影した動画から人体の骨格座標を取得し、スポーツ選手の動きをデジタルデータとして記録する技術が発達してきました。この技術を活用して、ある動きが次の動きにどう影響したかを「因果の連鎖」として説明するAIの開発が進んでいます。既にサッカーのコーチと連携し、中高生を対象にしたトレーニング講座での実用化も始まっています。「ここで重心を移動したから、次のターンがこう速くなった」というように具体的な数値やグラフを示すことで、より納得感のある指導が可能になります。安価で使いやすいシステムを開発し、プロの世界のデータ分析に使われることも研究の目標の一つとなっています。
医療の診断支援でも
「論理で説明するAI」の考え方は、医療の分野でも応用されています。脳の血管に生じたこぶの脳動脈瘤(りゅう)の治療では、患者ごとに最適な医療デバイスをAIが選ぶ研究が進んでおり、研修医と同等のレベルに達しています。救急医療の現場では、事故などで搬送された患者から人工呼吸器を外すタイミングの判断にAIを役立てる研究が続けられています。
いずれの分野でも、研究の核となっているのは、スポーツコーチや医師など各領域の専門家との緊密な協働です。専門家の知見をベースにAIが「なぜ」を語れるようになることで、多くの現場に信頼される判断支援が可能になります。
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新潟医療福祉大学 医療情報経営学部 健康データサイエンス学科 教授 大和田 勇人 先生
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