細胞膜からカプセルを作るー外部刺激に応答する細胞

外部刺激と細胞の応答
生き物の体を形作る細胞は、常に温度、圧力、pH、化学物質などの外部からの刺激にさらされています。そうしたさまざまな外部刺激は、細胞膜で感知され、その情報が細胞内に伝えられることで、細胞は自身の機能や状態を変化させています。
外部刺激を受けた細胞では、遺伝子発現の変化に加えて、ミトコンドリアや小胞体などの細胞小器官(オルガネラ)の動態や機能が変化することが知られています。さらに、細胞膜や細胞内の膜構造が再編成されるなど、膜のダイナミックな変化が起きることも明らかになっています。現在、こうした外部刺激に対して細胞がどのように応答し、その挙動がどのように変化するのかが分子レベルで研究されています。
細胞膜からカプセルを作る
化学物質という刺激が細胞にどのような影響を与えるのか、特に、細胞膜のふるまいがどのように変化するのかについては、未解明な点が多く残されています。
最近の研究では、培養した細胞に対して、特定の化学物質を与えることで、細胞膜の動態を大きく変化させ、たくさんの「膜小胞(膜カプセル)」を作る技術が生まれました。パラホルムアルデヒドとジメチルスルホキシドという2種類の化学物質を組み合わせて作用させると、細胞膜が大きく膨張し、その膨らんだ膜がくびれてちぎれることで、大量の膜小胞が形成されます。
DDSに役立つカプセル
このカプセルは、化粧品や医薬品分野への応用が期待されています。細胞膜は脂質二重層からなり、物質の性質によって通過しやすさが異なります。そのため、通常は細胞内に取り込まれにくい物質をカプセル内に包み込むことで、膜融合の過程を通じて細胞内へ効率よく届けられることが期待されます。
さらに、このカプセルは細胞膜由来の構造を持つため、生体膜と相互作用しやすい点も特徴の一つです。人工的に調製された脂質材料とは異なり、細胞膜が本来持つ性質を活かして、体内で特定の細胞まで薬を運ぶ「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」への応用が期待されています。
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