知られざるナマコの生態と資源価値

「海の掃除屋」
ナマコは海底の砂や堆積物を食べ、海底にたまった有機物を分解・浄化してくれることから「海の掃除屋」と呼ばれています。実はその生態は意外と知られていません。
ナマコは棘皮(きょくひ)動物に分類され、ウニやヒトデに近い生き物です。種類は多く、食用など水産資源として利用されているものだけでも約50種類おり、それ以外も含めると約2000種類ほどが世界中に分布していると言われています。ナマコは水底に生息する底生(ていせい)生物でもあり、生まれてすぐの幼生のころは海中を浮遊しながら移動し、成長すると砂地や岩場に着底します。
アジア以外でナマコを食用とする文化があまりないこともあって研究事例が少なく、繁殖方法や生育条件も種類によって多岐にわたるので、生態が明らかにされていないのです。
精鋭のナマコだけが生き残る
ナマコの繁殖は、オスが水中に直接精子をまき、メスが同時に卵子を放出する水中受精で行われます。100万単位で受精してもカニやヒトデ、魚などの天敵が多く、大人に育つのはほんの数匹程度と言われます。生き残っているのはまさに「精鋭のナマコ」なのです。
水産資源としてナマコの食用文化の歴史は古く、中国では明王朝時代から、日本でも江戸時代にはナマコが食され、干しナマコなどが高級食材として貿易で取引されていました。しかしナマコは乱獲が進み、絶滅の危機にひんしています。近年は天然資源のナマコは数が減り続けており、生物学的にも食文化の面からも保全が課題となっています。
絶滅の危機から脱出するには
資源保全のためにナマコの種苗の研究も進められています。親のナマコから採った卵をふ化させて飼育するほか、水中に漂っている天然の幼生のナマコを回収し、1cmほどまで育てて海に放流し、数を増やすのです。ソロモン諸島では政府によってナマコの資源管理プロジェクトも実施されています。天然資源の保護や漁獲量の制限に加え、今後は種苗や養殖など「育てる漁業」としてナマコを管理していくことが必要です。
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