災害看護は看護の原点 被災者の心に寄り添う

ナイチンゲールも
災害時は、通常以上に「相手に寄り添う看護」が求められます。大地震などの災害や大規模事故は、いったん起きてしまうと、その影響は長期に及びます。看護師の養成に力を注いだナイチンゲールが看護師として活躍した現場は、クリミア戦争の傷病兵を受け入れる病院でした。災害看護は、看護の原点とも言えるのです。
看護の道具は看護師自身
看護師を養成する研究からは、さまざまな実践的取り組みが生まれています。特に災害時において重要なのは、「看護の道具は看護師自身」であるという自覚です。非日常のただなかにいる被災者が、外から来た看護師たちに、「日常を奪われた自分たちの苦しみがわかるはずがない」といった感情を投げ掛けることはよくあります。看護師資格の基となる知識や技術を身につけるだけでは、災害現場で傷ついた人の心に寄り添うことは難しいかもしれません。看護師がその場で当事者のことを自ら考え、その人に合った対応をするには、事前の訓練と心構えが必要なのです。
医療当事者の「語り」に学ぶ
災害看護の訓練として、実際に災害に対応した看護師の「語り」を記録した物語(ナラティブ)に触れることは有効です。災害を体験していない看護学生にも、当事者の「語り」は自分ごととして共感できます。
例えば、阪神・淡路大震災の時に、ある看護師は家族の安否もわからないまま、神戸の病院で1週間、勤務を続けました。ライフラインは途絶え、強い恐怖を感じながらも、目の前の患者を見ると落ち着いてきて、やらなければならないことが見えてきました。一人一人の患者に集中することで、「自分の家族も誰かに助けられているかもしれない」と思えた、とのことです。
災害時に看護師ならではの寄り添い方は必ずあります。看護師は命のサポーターとも言えます。医師に死を宣告された患者の尊厳を守り、家族との別れの時間をつくるような配慮が、時間がたってから、家族の心と生活の復興を後押しする助けとなることも多いのです。
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