乳牛の胃を調査 牛乳がたくさん出る餌のバランスを探せ!

乳牛の胃を調査 牛乳がたくさん出る餌のバランスを探せ!

乳量は昔の倍に

酪農では、牛がいかにたくさんの乳を出してくれるかが大切で、牛に効率的に栄養を与える必要があります。そのため、牧草はもちろん、栄養価の高いトウモロコシなどの飼料がよく使われます。ただ、栄養価が高い飼料だけ与えるのも牛の健康を害します。酪農業界では、農家たちが経験的に見つけ出した、最適な餌の種類のバランスがノウハウとして知られています。
しかし遺伝子工学が発達し、乳牛の品種改良が進んだ現在、牛は以前の倍の乳量を出すようになったため、従来のノウハウでは栄養不足になることが増えました。このため、胃の状態を調べて、たくさんの乳を出してもらうための最適な飼料バランスを突きとめる研究が行われています。

胃をセンサでモニタリング

牛には4つの胃があり、第一胃にいる微生物が、牛が食べた物を発酵させ、その発酵産物が栄養になります。発酵産物は酸性なのですが、酸性度が高い状態が長く続くと微生物の一部が壊れ、その時に出る毒素が牛の健康を害します。トウモロコシなどのデンプンは、牧草に比べて急激に発酵が起きるため、第一胃の酸性度が高くなってしまいます。
そこで、牛に小型のセンサを飲み込ませて、第一胃の酸性度や温度を測り、胃の状態をモニタリングする技術が開発されました。これにより、特定の種の病気の診断も可能になっています。センサは3カ月程度で寿命を迎えますが、体内に留まっても健康に害がないことがわかっています。さらに詳細な調査が必要な場合は、牛の胃に小さな穴を開けて内容物を取り出しますが、より安全で効率的な技術が開発されています。

子牛の病気を防ぐには

酪農のもう1つの課題は、子牛の健康です。子牛は母体から抗体を受け継がない状態で生まれ、初乳に含まれる抗体を飲むことで免疫機能を獲得します。しかし、初乳の質が悪いことも多々あり、生後1~2カ月の間は病気になりやすいのです。このため、子牛に細胞性免疫を活性化させる薬を飲ませるなど、健康を管理する新たな方法が研究されています。

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岩手大学 獣医学部 獣医学科 准教授 木村 淳 先生

岩手大学 獣医学部 獣医学科 准教授 木村 淳 先生

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獣医学、産業動物臨床

先生が目指すSDGs

メッセージ

いろいろなことに興味を持って、世界を広げてください。どんなことも無駄にはなりません。私は大学時代は小動物、特に犬の眼科の研究だけをしていて、牛のことはまったく知りませんでした。就職先は産業動物など大動物を扱うところだったので、仕事をしながら大動物の勉強をしました。ただ、小動物の知識が思いがけず役に立つ場面もたくさんありました。別の分野の知識がつながっていることは意外に多いのです。ですから、いろいろな経験をしておくことは大事だと思います。

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